6割以上の人は「ガンの治療と仕事は両立できない」と思っている
内閣府が、「がん対策に関する世論調査」の結果を公開しています。
この調査は、全国から無作為抽出した18歳以上男女3,000人に対して、調査員による個別面接で行なわれたものです。
ここでは、「ガンと仕事の両立」について紹介しましょう。
6割の人は仕事と治療は両立できないと思っている
「現在の日本の社会では,がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要がある場合,働きつづけられる環境だと思いますか」と質問しています。
回答は4択で、「そう思う」「ややそう思う」が賛成意見の人、「あまりそうは思わない」「そう思わない」が反対意見です。
6割以上の人は、仕事と治療の両立は難しいと思っています。
仕事と治療の両立が困難なのは職場の問題が大きい
仕事と治療の両立が難しいと回答した人に、「働き続けることを難しくさせている最も大きな理由」を聞いています。
一番多い回答は「代わりに仕事をする人がいない,またはいても頼みにくい」でした。
2位は「職場が休むことを許してくれるかどうかわからない」で、3位は「両立が体力的に困難だから」でした。
仕事と治療の両立が困難と感じている理由は、自分の体力よりも、職場の問題が大きいことが分かります。
勤務体制の変更で仕事が続けられる
「働く意欲のあるがん患者が働き続けるようにするためには,どういう取り組みが必要か」と質問しています。
1番多いのは、「病気の治療や通院のために短時間勤務が活用できること」でした。
2位は「1時間単位の休暇や長期の休暇が取れるなど柔軟な休暇制度」、3位は「在宅勤務を取り入れること」で、いずれも勤務に関する制度に関することです。
短時間の勤務や、柔軟な休暇、在宅勤務などを取り入れることで、ガンになっても仕事を続けることができると感じている人が多いことが分かります。
一方で、「がん患者と産業医と主治医の連携」や「主治医が就労環境への配慮を求める意見書を提出する」など、主治医の意見を職場へ届けることで事情を理解してもらう方法も挙がっています。
退職してしまうと戦い続けることが難しくなる
ガンの治療方法が進んだことによって、ガンは長い入院生活が必要な病気から、通院によって治療と検査を続ける病気へとイメージが変わってきています。
ガンの治療を考えるときは、できるだけ長く仕事と治療を両立させて、息の長い治療生活を送ることを目標とするべきでしょう。
なお、サラリーマンの健康保険には、仕事が続けられなくなっても、治療生活を支えるために必要な資金が給付される「傷病手当金」という優れた制度が用意されています。退職してしまうと、これらの制度を利用することが難しくなります。
そのためにも、あわてて退職したりせず、仕事と治療が両立できるように、会社と相談することをおすすめします。