配偶者からのDV被害は年に7万件。「70代以上」の実例も
DVに関する統計資料
警察庁が、平成28年(2016年)の「配偶者からの暴力事案等への対応状況」を公開しています。
これは、夫婦内におけるDV(domestic violence)について、統計をまとめたものです。
DVの相談はストカー被害の3倍ある
DVに関する相談件数は、2016年1年で約7万件に達しています。
これは前年比で10%以上増えており、2001年以降で、もっとも多くなっています。
2016年のストーカー被害の相談件数は約2万件です。DVに関する相談は、その3倍以上の件数があり、大きな問題であることが分かります。
検挙の内容は深刻
DVの加害者が、刑法などに違反して検挙された件数は、約8千件でした。
相談件数の10分の1ぐらいの割合で、検挙に至るほどの暴力が行なわれています。
検挙の罪名を見ると「障害」「暴行」がほとんどですが、中には「殺人」「殺人未遂」「住居侵入」「銃刀法違反」などもあり、深刻な事態であることが分かります。
被害者の85%は女性
DVの被害者の「85%」は女性です。
また、約70%は婚姻関係がある「夫婦」です。
つまり、現時点で籍を入れた夫婦として暮らしている配偶者からのDVが多いことが分かります。
被害者が多いのは30代
DVの被害者の年齢は「30代」がもっとも多く、「40代」と「20代」もあまり差がありません。
20代から40代までで、全体の77%を占めていますが、「70代以上」も5%あります。
加害者が多いのも30代
一方、DVの加害者も「30代」が一番多く、「40代」と「20代」が続きます。
20代から40代までで、全体の「73%」を占めますが、「70代以上」が6.3%あります。
DVの多くは、ごく普通の家庭で起きている
DVに関する、ここまでの情報をまとめてみましょう。
- DVの相談件数は年に約7万件
- DVの検挙数は年に約8千件
- 被害者の85%は女性
- 籍を入れた配偶者からのDVが約70%を占める
- 被害者、加害者とも30代が多く、20代から40代で7割を占める
つまり、ごく普通に見える家庭の中で、夫によるDV被害を受けている人が多いのです。
DVに対する支援の流れ
DVに対する支援は、「配偶者暴力防止法」に基いて行なわれます。
相談窓口は、警察のほか、地方自治体に用意されている「配偶者暴力相談支援センター」に用意されています。
全国の相談窓口の一覧は、内閣府の「配偶者からの暴力被害者支援情報」に、一覧表のPDFファイルが用意されています。
DVを我慢することは、暴力を伴う状況が固定化しやすく、被害者の精神状態や、子供の教育にも影響します。
夫婦二人が、被害者と加害者にもならないためにも、できるだけ早く相談しましょう。