配偶者からのDV被害は年に7万件。「70代以上」の実例も

[2017/4/12 00:00]

DVに関する統計資料

警察庁が、平成28年(2016年)の「配偶者からの暴力事案等への対応状況」を公開しています。

これは、夫婦内におけるDV(domestic violence)について、統計をまとめたものです。

DVの相談はストカー被害の3倍ある

DVに関する相談件数は、2016年1年で約7万件に達しています。

これは前年比で10%以上増えており、2001年以降で、もっとも多くなっています。

2016年のストーカー被害の相談件数は約2万件です。DVに関する相談は、その3倍以上の件数があり、大きな問題であることが分かります。

「配偶者からの暴力事案等の相談等状況」 出典:警察庁

検挙の内容は深刻

DVの加害者が、刑法などに違反して検挙された件数は、約8千件でした。

相談件数の10分の1ぐらいの割合で、検挙に至るほどの暴力が行なわれています。

検挙の罪名を見ると「障害」「暴行」がほとんどですが、中には「殺人」「殺人未遂」「住居侵入」「銃刀法違反」などもあり、深刻な事態であることが分かります。

「配偶者からの暴力事案等の検挙状況」 出典:警察庁

被害者の85%は女性

DVの被害者の「85%」は女性です。

また、約70%は婚姻関係がある「夫婦」です。

つまり、現時点で籍を入れた夫婦として暮らしている配偶者からのDVが多いことが分かります。

出典:警察庁

被害者が多いのは30代

DVの被害者の年齢は「30代」がもっとも多く、「40代」と「20代」もあまり差がありません。

20代から40代までで、全体の77%を占めていますが、「70代以上」も5%あります。

出典:発表資料を基に編集部が作成

加害者が多いのも30代

一方、DVの加害者も「30代」が一番多く、「40代」と「20代」が続きます。

20代から40代までで、全体の「73%」を占めますが、「70代以上」が6.3%あります。

出典:発表資料を基に編集部が作成

DVの多くは、ごく普通の家庭で起きている

DVに関する、ここまでの情報をまとめてみましょう。

  • DVの相談件数は年に約7万件
  • DVの検挙数は年に約8千件
  • 被害者の85%は女性
  • 籍を入れた配偶者からのDVが約70%を占める
  • 被害者、加害者とも30代が多く、20代から40代で7割を占める

つまり、ごく普通に見える家庭の中で、夫によるDV被害を受けている人が多いのです。

DVに対する支援の流れ

DVに対する支援は、「配偶者暴力防止法」に基いて行なわれます。

相談窓口は、警察のほか、地方自治体に用意されている「配偶者暴力相談支援センター」に用意されています。

全国の相談窓口の一覧は、内閣府の「配偶者からの暴力被害者支援情報」に、一覧表のPDFファイルが用意されています。

DVを我慢することは、暴力を伴う状況が固定化しやすく、被害者の精神状態や、子供の教育にも影響します。

夫婦二人が、被害者と加害者にもならないためにも、できるだけ早く相談しましょう。

出典:内閣府パンフレット「STOP THE 暴力」(PDF)
[シニアガイド編集部]