失業保険がなくても、職業訓練を受けながら月に10万円貰える「求職者支援制度」
雇用保険を受給できない人の支援制度
サラリーマンが会社を辞めたり/辞めさせられたりした場合、一般的には失業保険(雇用保険)の給付を受けながら、次の職を探します。
雇用保険の失業基本手当は、辞める6カ月前の給与の45%~80%に相当する金額です。
支給開始の時期は辞めた理由などによって異なりますが、いったん受給が始まれば、生活を維持しながら求職活動を行なうことができます。
しかし、フリーランス(自営業)を廃業した場合や、大学卒で就職していなかった場合などは、雇用保険に入っていませんから、失業基本手当を受給することができません。
また、雇用保険のない働き方をしていたり、雇用保険の受給が終わっても職に就けなかった場合も同様です。
こういう場合に利用できるのが「求職者支援制度」です。
職業訓練を受けると月に10万円貰える
「求職者支援制度」は、所定の職業訓練を受ける代わりに、「職業訓練受講給付金」として、月に10万円と交通費や宿泊費が支給される制度です。
申し込みは、ハローワークで行ないます。
最初に就職支援計画を作成し、月に1回はハローワークに来所して職業訓練受講給付金を受け取ります。
ハローワークへ来所しないと、職業訓練受講給付金の支給が停止されます。
また、不正受給に対しては返還が求められる上、最大3倍までのペナルティが付きます。
制度を利用するためには、次のような条件があります。
- 収入が月に8万円以下
- 世帯の収入が月に25万円以下
- 世帯の金融資産(預金など)が300万円以下
- 居住している土地・建物以外に、土地などを所有していない
- 基本的には、訓練の実施日にすべて参加している
- この給付金を受給している家族が世帯内にいない
- 過去3年以内に失業基本手当などの不正受給をしていない
訓練期間は2~6カ月
職業訓練は、民間の訓練期間が行なうもののうちから、あらかじめ認定されたものが対象です。
訓練期間は、基礎コースは2~4カ月、実践コースは3~6カ月に設定されています。
自分の居住している地域で、どのようなコースが用意されているかは、高齢・障害・求職者雇用支援機構のページで検索できますので、確認してください。
現在、認定されているコースは、パソコンの技能習得や、介護福祉士の研修などが多いようです。
先行きを考える時間ができることがメリット
「職業訓練受講給付金」は、真剣に求職する意思があり、職業訓練に参加しないともらえない制度です。
しかし、フリーランスの仕事が途絶え、求職せざるを得ない場合などに備えて、覚えておくのは無駄ではありません。
そういう状況に追い込まれた時に、すぐにアルバイトなどを探すという手もありますが、職業訓練を受けながら、先行きを考える時間ができることが、この制度のメリットでしょう。
また、定期的に職業訓練へ通うことによって、新しい知識を得るだけではなく、生活習慣の立て直しができるというメリットもあります。
なにしろ、欠席や遅刻が給付金の停止に結びついているのですから、簡単にサボったりできません。定期的にどこかに通うという習慣を取り戻すためのリハビリとしても有効でしょう。