60歳以上の収入は年金も含めても「10~20万円」が最多
高齢者の暮らし向きに関する国の調査
内閣府が「高齢者の経済・生活環境に関する調査」の結果を公開しています。
この調査は、2017年6月に全国の60歳以上の男女2,920人を対象に行なわれ、1,976人の有効回答数を得ています。
今回は、高齢者の収入や支出の項目について見ていきましょう。
収入がある人は、3人に1人
「収入のある仕事をしている」人は、全体の32%でした。
だいたい、3人に1人の割合で働いて収入を得ています。
ただし、働いている割合は年齢によって大きな差があります。
例えば、男性の場合、「60~64歳」では4人のうち3人が働いていますが、「65~74歳」では2人に1人になり、「75歳以上」では10人に1人になります。
平均月収は「10~20万円」が多い
「年金と合わせた平均月収」は、「10~20万円」で32%でした。
次に多いのが「20~30万円」で26%です。
全体の6割近くは、月収が10万円~20万円の範囲で、現役時代に比べると少ない収入で暮らしていることが分かります。
「あまりゆとりはないが、それほど心配でもない」人が多い
しかし、「経済的な暮らし向き」について尋ねると、「あまりゆとりはないが、それほど心配でもない」という人が約50%でした。
「ゆとりがあり、全く心配ない」という人を合わせると、65%の人が「心配はない」としています。
また、暮らし向きが心配という人でも「ゆとりがなく多少心配」という人が多く、「苦しく、非常に心配という人は8%に留まっています。
「食費、光熱水費」の支出が多い
もう少し、具体的な支出について見てみましょう。
「大きな割合を占める支出」を、3つまでの複数回答で聞いています。
1位は「食費、光熱水費」で、75%の人が挙げています。
全体の収入が少なめなので、日常の生活費の割合がふくらんでいることが分かります。
2位は「保健、医療費」、3位は「住居費、リフォーム費」でした。
4位の「交通費、自動車」までが20%を超えています。
負担に感じるのは「食費」と「医療費」
暮らしの中で「負担を感じている支出」を、3つまでの複数回答で聞いています。
1位の「食費、光熱水費」と、2位の「保健、医療費」までは、支出が大きい順のままとなっています。
ほぼ毎日買い物がある「食費、光熱水費」と、高齢になると支出が増える傾向にある「保健、医療費」の2つが、負担を感じる支出となっているようです。
3位は、「負担を感じているものは特に無い」でした。
「住居費」や「交通費」などは、支出が大きい割には、あまり負担に感じていないことが分かります。
老後に使えるお金の準備が重要
最後に、ここまでわかったことをまとめてみましょう。
- 高齢者の3人に1人は収入があるが、年齢が高くなると働いている人は少なくなる
- 平均月収は、年金を含めても「10~20万円」が最多。半分以上の人は「20万円未満」で暮らしている
- 暮らし向きは「あまりゆとりはないが、それほど心配でもない」という人が半分を占める
- 支出が多く、負担に感じているは「食費、光熱水費」と「保健、医療費」
60歳以上になると、働いていない人も多く、年金を含めても収入は現役時代よりも少なくなります。
しかし、「あまりゆとりはないが、それほど心配でもない」という人が多く、切迫した厳しい状態ではありません。
ただし、日常生活にかかる「食費、光熱水費」は、支出に占める割合も高く、負担感も大きいようです。
これらは現金による支出なので、確定拠出年金や積立預金などによって、日常生活で使えるお金を少しでも増やしておくことが対策となります。