「大都市」以外に住む高齢者の多くは、自動車で買い物に行く
高齢者の暮らし向きに関する国の調査
内閣府が「高齢者の経済・生活環境に関する調査」の結果を公開しています。
この調査は、2017年6月に全国の60歳以上の男女2,920人を対象に行なわれ、1,976人の有効回答数を得ています。
今回は、ふだん使用する交通機関について見ていきましょう。
買い物は自分で行く人が多い
「日常の買い物はどうしていますか」という質問に対して、「自分でお店に買い物に行く」人が76%で一番多くなっています。
「家族・親族に頼んでいる」など、誰かに頼んだりネット販売などを利用している人は24%です。
買い物に行くときは「自動車」が多い
「自分で買い物に行くときの手段」を聞くと、「自動車」が56%で一番多くなっています。
次は「徒歩」ですが、28%なので、自動車の半分しかいません。
「大都市」は「徒歩」が多い
しかし、住んでいる都市の規模別で見ると、面白い結果が出ました。
グラフでは緑色で示した「大都市」だけは、「自動車」が33%、「徒歩」が50%で、「自動車」よりも「徒歩」の方が多いのです。
一方、大都市以外では「自動車」の率が高く、60%を超えて70%に近づいています。
自動車を選ぶ理由としては、「体力的にお店に行くことが難しい」や「お店までの距離が遠い、時間がかかる」などが多くなってます。
さらに「町村」では「気軽だから」という回答が多く、自動車になじんでいる様子がうかがえます。
徒歩圏内に有る施設と無い施設
では、買い物以外ではどうでしょう。
「あなたが住んでいる地域で、徒歩圏内(500m以内)にある施設を挙げてください」という質問をしています。
「大都市」では、「福祉施設」や「役所」を除いて、ほとんどの施設が徒歩圏内にあります。
一方、「町村」では、「コンビニ」「公園」「福祉施設(デイサービスなど)」などが徒歩圏になく、自動車が日常生活に欠かせない存在になっていることが分かります。
地域ごとの差に配慮が必要とされる
今回の調査では、都市の大きさは次のように区分されています。
- 大都市:東京23区、政令指定都市
- 中都市:人口10万人以上の市
- 小都市:人口10万人未満の市
- 町村:郡部、町村
調査の結果、「大都市」と、それ以外の「中都市」「小都市」「町村」では、ふだん使っている交通機関が異なっていることが分かりました。
大都市は「徒歩」が、それ以外は「自動車」が中心となっています。
特に、「町村」については、生活に必要な施設の多くが、半径500mの徒歩圏内にはなく、自動車が必需品であることが分かります。
地方移住を考える都市住民は、運転免許証やマイカーの準備を忘れてはいけません。
また、高齢者に対して自動車運転免許証の返上を勧める場合にも、住んでいる地域ごとに、日常生活に困らないような手段の提供が必要となることが分かります。