先輩移住者の「ホンネ」から学ぶ地方移住の心構えと準備
定年や早期退職を期に、地方移住を考えている人も多いと思います。
しかし、地方の状況についてあまり調べておらず、都会の感覚のままで気軽に移住を試みて失敗してしまう例を良くみかけます。
ここでは、政府が無償公開している「いなか暮らしはじめませんか?」というパンフレットから、6人の先輩移住者の経験を紹介します。
都会生活を捨てて行なった地方移住の後で「こんなはずじゃなかった」と思う前に、先輩移住者の本音から必要な心構えと準備を学びましょう。
マイカーは必需品
【失敗例】バス停が近くにある物件が見つかったのでマイカーがなくても大丈夫だろうと思い移住しました。しかし、バスは1時間に1、2本。自分の都合のよい時にあるとは限らず、結局マイカーを購入しました。
【解説】都会のように公共交通機関が充実していないので、車は必需品です。ただし、運転免許証がない場合や運転が不安な方は、徒歩圏内に商業施設がある地方都市で暮らすという選択もあります。
田舎暮らし=のんびりではない!?
【失敗例】田舎で野菜づくりをしながらのんびりとしたスローライフを送りたいと思い移住しましたが、毎日やることが多くて以前より忙しいです。
【解説】田舎はのんびりとした空気が流れていますが、都会と違い近所づきあいや地域の行事も多く、庭の手入れや雪下ろしなど都会とはまた違った忙しさがあります。
希望の求人がない
【失敗例】「とりあえず移住して、落ち着いたら仕事を探そう、きっとすぐ見つかるだろう!」と思ってましたが、なかなか希望する求人が見つからず収入面でとても苦労しました。
【解説】多種多様な職種がある都会に比べて地域によっては職種に偏りがある場合もあります。どのような求人があるか事前によく調べておきましょう。また、移住後に就職する場合は充分な生活費を準備しておく必要があります。
雪下ろしは重労働
【失敗例】豪雪地帯への移住なので覚悟していましたが、実際に住んでみてあまりの寒さと雪下ろしの大変さにびっくりしました。あまりの重労働に足腰が持つか不安になりました。
【解説】実際に住んで生活してみると想像と違っていたということは良くある話です。特に積雪地帯へ移住される方には、お試し体験住宅などで1~2週間ほど冬の生活を体験していただく事をお勧めしています。
地域に溶け込めず
【失敗例】移住前に訪れた時は「喜んで受け入れてくれている」と感じていたが、実際に暮らしてみると微妙に違って、なかなか地域に溶け込むことができず、最初の1年くらいはとても寂しい思いをしていました。
【解説】地域によって受け入れ方には温度差があるのも事実です。事前に何度も通ってみたり、自治体に相談するなどの事前準備や積極的に地域に入っていこうとする姿勢も大切です。
都会の感覚が伝わらない
【失敗例】都会の感覚で便利さや効率を考えた生活や発言をしていたら、地域の人たちが困惑してしまいました。
【解説】それまでのライフスタイルや考えを捨てる必要はありませんが、その地域にはその地域のやり方というものがあります。それを良く理解したうえで、押しつけにならないように地域の人たちに理解をしてもらうことも大切です。
おつきあいはステップを踏んで、相手の事情も読み取ろう
今回、経験談を引用した「いなか暮らしはじめませんか?」というパンフレットは、政府が地方移住を促進することを目的としたものです。
それでも、こういう失敗談を集めたページを作らなければならないほど、都会の感覚を持ったままで田舎暮らしを試みて失敗する例が多いのです。
この記事を読んで興味を惹かれたら、ぜひ無料公開されている、このパンフレットを読んでください。きっと、役に立つことがたくさん載っています。
地方移住は、移住先と結婚することに似ています。
「自然と触れ合える」「スローライフ」などのイメージと、一方的な思い込みだけで移住してはお互いに不幸になります。
まずは、実際にその土地を訪れて触れ合うことから始め、地域が準備している「お試し移住」などの短期滞在、移住志望者向けの低価格な賃貸住宅を利用した長期滞在など、ステップを踏んでお互いの理解を深めましょう。
その結果、移住という付き合い方ではなく、民宿に滞在する旅行先になったりしても、それはそれでかまいません。
恋愛や結婚に至らないとしても、たまにしか会わない友人関係だからこそ関係が長続きするというのは、人間同士でもよくあることなのですから。