50分「6,200円」の相談料を払っても、カウンセラーに相談したい内容
有料の相談室に行くほど悩んでいる人は、どんなことで悩んでいるか
一般社団法人 日本産業カウンセラー協会が、協会が開設している対面相談室の統計結果を公開しています。
「産業カウンセラー」は、民間資格の1つで、心理学的手法を用いて働く人たちが抱える問題を自らの力で解決できるよう支援することを目的としています。
職場の人間関係やキャリアの悩みを相談するための専門家と考えれば良いでしょう。
日本産業カウンセラー協会では全国各地の支部37カ所に、「相談室」を開設しています。
対面で行なわれるカウンセリングは有料で、1回50分で6,200円が基本です。
つまり、相談室にカウンセリングに行く人は、自分で足を運び、お金を出して相談したいほどの深い悩みを持っているのです。
いったい、どんな内容の相談が多かったのか。2016年度の統計資料を基に紹介します。
「40代」は悩みの多い世代
最初に、相談者の性別と年齢を見ておきましょう。
全国の相談室で行なわれた対面による相談件数は4,567件でした。
性別では、男性2,206件、女性2,361件です。
年代別では、40代が1番多く、50代と30代が続きます。
やはり、この年代は中間管理職になる人も多く、悩みが絶えないのでしょう。
「職場」と「自分自身」が双璧
相談内容を分野別に見ると、「職場の問題」と「自分自身のこと」が多く、それぞれ3割を越えています。
3番目は「家庭の問題」、4番目は「メンタル不調・病気」でした。
5番目の「キャリアカウンセリング」までが、産業カウンセラーに相談された主な分野ということになります。
職場の問題は「仕事」と「人間関係」
ここからは、分野別に、悩みの内容を詳しく見ていきましょう。
まず、一番多い「職場の問題」の内訳です。
「仕事のこと」と「人間関係」が、ともに4割を越えています。
つまり、職場の問題の8割以上は、仕事の内容か、上司/同僚などとの人間関係ということです。
自分自身の悩みは「生き方」と「性格」
2番目に多い「自分自身のこと」の内容を見ましょう。
一番多いのは「生き方」で、4割近くあります。
2番目は「性格」、3番目は「人間関係」で、この3つで8割以上を占めています。
家庭の問題は「夫婦」か「親子関係」
「家庭の問題」の内容では、「夫婦問題・離婚」と「親子関係」が双璧です。
体調不良に関する相談は「うつ」と「メンタルな病気」
「メンタル不調・病気」に関する問題の内容は、「うつ」と「メンタルな病気」が多くなっています。
ガンなどの内科的な病気ではなく、うつやメンタルな病気が圧倒的に多いという状況は、現在の職場環境を反映しているのでしょう。
また、いきなり精神科やクリニックに行くよりも、相談しやすい人と感じる人も多いでしょう。
キャリアの悩みは「転職・退職」と「仕事の適性」
「キャリアカウンセリング」は、産業カウンセラーが力を入れているの仕事の1つです。
しかし、どのような相談内容なのか、想像しにくい分野でもあります。
相談内容として多かったのは「転職・退職」と「仕事の適性」でした。
これに「キャリアプランニング」、「雇用形態」、「ライフキャリア」が続きます。
相談内容から見ると、自分の仕事や人生のプランを考える上での悩みを相談する窓口と考えれば良いでしょう。
誠実な相談相手としての利用
産業カウンセラー協会が、自らの仕事としている主な分野は、「メンタルヘルス」「キャリアカウンセリング」「職場の人間関係」の3つです。
しかし、今回見た相談内容では、「自分の生き方」や「性格」、「夫婦問題・離婚」、「親子関係」などが含まれていました。
「メンタルヘルス」の一環と言えなくもないのですが、かなりプライベートな問題であることは間違いありません。
このようなプライベートな悩みについては、かつては友人や親戚など、周囲の人間に相談することが多かったのですが、あえて、産業カウンセラーに有料で相談する人が多いのは興味深いところです。
多少の手間とお金がかかっても、確実に話を聞いてくれて、誠実に相談に乗ってくれる窓口は、それだけ重要な存在なのでしょう。
なお、産業カウンセラー協会では「働く人の悩みホットライン」という電話相談も実施しています。こちらは、一人1回30分以内という制限がありますが、無料です。足を運べないなどの理由がある方は利用を検討してください。