有効求人倍率がバブル期並みに上昇。職を求めるには良い時期
「人手不足」の状況を知るための指標
「人手不足で、深夜の営業を廃止」とか「人手不足により、パートの時給が上がった」というニュースをよく耳にします。
そういう人手不足を、客観的に知るための目安の1つに「有効求人倍率」があります。
これは、厚労省が発表しているもので、「求人数」を「求職者数」で割ったものです。
有効求人倍率は、1人あたり何件の求人があるかを表しています。
つまり、有効求人倍率が「1」を超えている場合は、求職者よりも求人の方が多い状態です。
昨年からずっと人手不足が続いている
2016年1月からの有効求人倍率を見てみましょう。
新卒者とパートを除いた、一般的な社員の求人状況を見ると、ずっと「1」を超えている状態が続いています。
次に、パートの状況を見てみましょう。
こちらは、「1」どころか「1.5」を超える状況が続いています。
いかにパートの求人が人手不足であるかということが分かります。
バブル期並の求人状況
去年からの数字を見ていると、有効求人倍率が「1」を超えていることの凄さが分かりません。
そこで、同じ形式でデータが残っている1972年から、年間の有効求人倍率を見てみましょう。
ここでは、比較的低めに出る「新卒者とパートを除いた数字」を使っています。
もっとも倍率が高かったのは、高度経済成長期の終わりに当たる「1973年」でした。有効求人倍率は「1.75」です。
次に倍率が高かったのは、バブル期の影響が残る「1991年」でした。倍率は「1.28」です。
こうして見てくると、2016年(昨年)の「1.19」という倍率が、いかに凄いものであるかが分かります。
少なくとも、人手不足はバブル期以来の状況と言えるでしょう。
しかし、景気が悪くなると有効求人倍率は下がります。
1973年の石油ショックの影響を受け、1975年には「0.60」に落ちました。
同じようにバブル崩壊後には、有効求人倍率が下がり、1999年には「0.39」まで落ちています。
最近では、2008年のリーマンショックの影響で、2009年には「0.38」まで下がっています。
このように、不景気になったきっかけと、有効求人倍率が下がる時期には、多少の時間差があります。
いつか必ず求人は少なくなる
現在の有効求人倍率は、バブル期の状況に近づいており、職を求めるには良い時期と言えるでしょう。
しかし、長期のグラフを見ると分かるように、好景気はいつまでも続くものではありません。
バブル崩壊やリーマンショックのような劇的な状況でなくても、いつかは求人が少なくなる時期が来ます。
転職などを考えている人は、早め早めに動くことを心がけましょう。