ふるさと納税の恩恵を受けているのは「北海道」、負担が大きいのは「東京都」
ふるさと納税をした人の地元は減収になる
総務省が、ふるさと納税をした人が住んでいる自治体の住民税の減収額を発表しました。
平成29年度の、ふるさと納税の総額は「2,540億円」で、それによる控除の対象は225万人で、金額にして「1,766億円」でした。
控除対象は、前年度の1.8倍、控除金額は1.7倍に増えています。
住んでいる自治体が減収になる仕組み
ふるさと納税は、個人が地方自治体を指定して、そこに寄付をします。
寄付金は「寄附金控除額」の対象となるので、寄付をした人の所得税と住民税が安くなります。
ふるさと納税は、寄付した自治体は収入(寄付金)が増える代わりに、寄付した人が住んでいる自治体は収入(住民税)が減るしくみなのです。
北海道は「231億円」の増収
では、どんな自治体が増えて、どんな自治体が減っているのか都道府県単位で見てみましょう。
ふるさと納税で増収となっている県の1位は「北海道」でした。
北海道には271億円のふるさと納税が集まりました。
北海道の住民がふるさと納税している分で住民税が40億円減っていますが、差し引きで「231億円」の増収となります。
2位は「山形県」で219億円、3位は「宮崎県」で200億円の増収でした。
4位以下でも、100億円以上の増収となっている「長野県」「佐賀県」「静岡県」「鹿児島県」あたりが、ふるさと納税制度による恩恵を大きく受けた県と言えるでしょう。
東京都は「466億円」の減収
一方、ふるさと納税による地方税の減収額が一番多いのは「東京都」でした。
東京都民は、683億円のふるさと納税を行ないました。それによる都民税と市町村税を合わせた控除額は466億円です。
一方、東京都に寄せられたふるさと納税は8億円なので、差し引きで「458億円」の減収となりました。
同じように、2位の「神奈川県」では137億円、3位の愛知県が87億円の減収となっています。
減収となっている県は、ほとんどが大都市圏に属しています。
ふるさと納税は、大都市圏のお金を地方に移すという働きをしているのです。
したがって、今後もふるさと納税の規模が大きくなり続けた場合、大都市圏の自治体の予算に悪影響が出る恐れがあります。
少額の負担で地方の返礼品が楽しめるというふるさと納税には、そういう副作用もあるのです。