自分の臓器を提供したい人は「4割」、家族が提供することを認める人は「8割」

[2017/11/14 00:00]
「移植医療」を表すグリーンリボン

臓器移植に関する世論調査

内閣府が「移植医療に関する世論調査 」の結果を公開しています。

この調査は、2017年8月に、全国の男女1,911人から有効回答を得ています。

この記事では、臓器提供の意思表示と実行について紹介します。

4割の人は、臓器を提供したいと思っている

「自分が脳死または心停止して死亡と判断された場合に、臓器提供をしたいと思うか」と聞いています。

「提供したい」と思っている人が4割で、自らの臓器を提供しても良いと考えている人の方が多いことが分かります。

一方、「臓器を提供したくない」と思っている人は2割でした。

しかし、「どちらともいえない」も3割以上あり、臓器提供に関する意識は統一されていないと言って良いでしょう。

出典:データを基に編集部が作成

年齢が高くなると、臓器提供の意欲が下がる

臓器を提供する意思には、大きな年代差があります。

「18~29歳」では約7割の人が「提供したい」と考えています。

しかし、「30~39歳」では5割を切ります。

だいたい年代が上がるごとに、「提供したい」という人は減っていき、「70歳以上」では3割以下になります。

出典:データを基に編集部が作成

なお、臓器を提供できる年齢については、臓器移植をサポートしている「日本臓器移植ネットワーク」のQ&Aでは次のように紹介されています。

 臓器を提供する場合、臓器提供適応基準では、おおよそ心臓50歳以下、肺70歳以下、腎臓70歳以下、膵臓60歳以下、小腸60歳以下が望ましいとされています。

 しかし、この年齢を越えた方でも、医学的に提供が可能である場合もあります。実際に、60歳代の方から心臓をご提供いただいた事例もあります。

実際の臓器提供時には、医学的検査をして判断されます。しかし、60歳以上の方はこの基準が参考となるでしょう。

8割以上の人は、家族の意志を尊重する

次に「家族の誰かが脳死判定または心臓停止をして、死亡と判断された場合に、本人が臓器提供の意思を書面で示していた場合、その意思を尊重するか」と聞いています。

つまり、家族が臓器移植の意志を臓器移植カードや自動車運転免許証などで示していた場合に、移植を認めるかということです。

「意志を尊重する」とする人は、8割を超えており、家族が移植を望んでいた場合は、それに従う人が多いことが分かります。

「尊重しない」という人は、1割以下でした。

出典:データを基に編集部が作成

意思表示が無い場合は、移植を認めない人が多い

しかし、家族が臓器を提供する意思を表示していなかった場合は、「移植を承諾する」人は4割以下に減ります。

「臓器提供を承諾しない」人は5割弱まで増え、「承諾する」人を上回ります。

本人の意志が明らかでない場合は、家族の臓器提供に賛成しない人が多くなります。

出典:データを基に編集部が作成

臓器提供の意思表示には「ためらい」

アンケート結果を見ると、自分の臓器を「提供したい」と思っている人は「4割」います。

しかし、健康保険証や運転免許証、臓器提供意思表示カードなどで、「臓器を提供する」という意思表示を行なっている人は、全体の「12%」に留まっています。

意思表示をしない理由は「自分の意思が決まらないから、あるいは後で記入しようと思っていたから」が多く、記入することへのためらいが感じられます。

しかし、本人が臓器を提供する意志を表示していれば、家族の8割以上は臓器提供を承認しますが、意思表示をしていない場合は半分以下に減ります。

もし、自分の臓器を提供したいと積極的に思っているのであれば、なんらかの形で自分の意志を示しておきましょう。

そうでないと、せっかくのあなたの意志が生かされない可能性が高いでしょう。

もちろん、「臓器移植をしたくない」という意志を表示したい場合も同様です。

[シニアガイド編集部]