離婚で年金を分割して増えるのは「平均3万円」、3号分割なら「5千円」
離婚分割で、いくら年金が増えるのか
離婚する際に、一方の当事者(主に夫)の年金記録を、もう一方の当事者(主に妻)が分割して貰えるという制度は、だいぶ知られるようになってきました。
この制度は「離婚分割」と言います。
では、実際に、離婚分割を利用した場合、毎月の年金は、どれぐらい増えるのでしょう。
この記事は、そこに絞って紹介します。
「離婚分割」を受けても増えるのは3万円
2016年度のデータを見ると、「離婚分割」の場合、分割する側の年金は「月額30,503円」少なくなります。
一方、分割を受ける側は「月額31,967円」増えています。
つまり、「分割を受けた場合、月額で約3万円年金が増える」というわけです。
「3号分割」だと月額5千円
「3号分割」に限ると、金額はさらに小さくなります。
年金を分割する側は「月額4,605円」減り、分割を受ける側は「月額5,194円」増えます。
つまり、「3号分割を受けた場合、月額で約5千円年金が増える」というわけです。
3号分割は、始まってから期間が短いので、その年金記録を分割しても、金額は大きくありません。
場合によっては、「年金」よりも他の財産の分割で
平成28年度(2016年度)に行なわれた「離婚分割」の件数は「2万6,682件」でした。
同じ年度の離婚件数は「21万9,351件」ですから、その12%にあたります。
つまり、離婚したカップルの中で、「離婚分割」をするのは、1割ちょっとに過ぎません。
その理由としては、分割にあたっては、当事者双方の合意が必要なので、手続きが面倒なことが大きいでしょう。
そして、手間がかかる割には、あまり金額が増えないことも一因でしょう。
自分の年金が、月に3万円増えたとして、年に36万円、10年でも360万円です。
それぐらいならば、現金や住宅を分割してもらった方が、手っ取り早くて良いという判断もあるでしょう。
一方、「3号分割」については、当事者双方の合意が必要ありません。
離婚から2年以内で、結婚している期間中に「第3号被保険者」だったことがあれば、届出一つで、年金の分割を受けることができます。
相手側と相談の必要がないのならば、増えるのが「月に5千円」でも手続きしておこうと思う人が多いでしょう。
結論としては、「3号分割だけならば、自分で手続きして年金分割をする」、そして「3号分割以外の分が大きい時は、増えても月に3万円ということを頭に入れておき、年金以外の形で財産分与が受けられるならば、そちらも検討する」というあたりが落とし所でしょう。