平成29年分「所得税の確定申告」の変更点と注意事項
今年の確定申告は2月16日から受付
平成29年分の「所得税の確定申告」の受付開始まで、1カ月を切りました。
今年の受付期間は、2018年2月16日(金)から3月15日(木)です。
フリーランス(自営業者)や、副業を抱えたサラリーマンにとっては忙しい時期の到来です。
この記事では、今年の確定申告の作業にあたって覚えておきたい変更点を紹介します。
平成29年分の確定申告については、医療費控除が簡単になり、「セルフメディケーション税制」や「ビットコインの取り扱い」など新しい事柄も増えています。
なお、控除金額の変更など、経理ソフトや申告ソフトが計算してくれる部分については触れていません。ご了承ください。
医療費控除が簡単に
平成29年分の確定申告にあたって、作業的に一番変わったのは「医療費控除」の変更です。
医療費控除の申告にあたって必要だった、「医療費の領収書」の提出が不要となりました。
ただし、5年間の保管義務がありますから、領収書を捨ててはいけません。
領収書の代わりに、「医療費控除の明細書」という書類を提出します。
この「医療費控除の明細書」の書式はシンプルで、日付の項目がありません。
同じ支払先であれば、日付が異なる分を、まとめて書いて良いことになっています。
おかげで、同じ病院に通院している場合は、記入が簡単になりました。
これに伴って、Excel用のフォームも変わっています。以前のフォームは使えませんので、注意してください。
なお、一部の健康保険組合や、後期高齢者医療制度の広域連合では、「医療費のお知らせ」などの名前で、使った医療費の一覧を郵送してくれる場合があります。
この「医療費通知」を提出すると、「医療費控除の明細書」が不要となります。また、5年間義務付けられている医療費の領収書の保管も必要ありません。
「セルフメディケーション税制」の開始
今年から「セルフメディケーション税制」という名称で、特定の市販薬を12,000円以上購入した場合の医療費控除の特例が始まりました。
対象となる市販薬は限られていますが、医療費控除よりも敷居が低く、市販薬を良く使う人には有利な制度です。
ただし、「一般の医療費控除」と「セルフメディケーション税制」は、どちらか片方しか使えません。
どちらを利用した方が有利なのかは、国税庁のサイトにある医療費控除とセルフメディケーション税制の減税額等の試算で確認できます。
ビットコインなどの仮想通貨の利益の扱い
2017年12月に、ビットコインなどの仮想通貨による利益は、「雑所得」として扱うという通知が出ました。
給与所得者でも、雑所得の総額が「20万円以上」あると、確定申告が必要です。
詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
マイナンバーと本人確認書類の再提示
制度の変更ではありませんが、申告にあたって注意したいのが「マイナンバー」関連です。
昨年の確定申告から、マイナンバーが必要となりました。
今年も、申告書類に本人と配偶者などのマイナンバーを記入する必要があります。
そして、申告の際には、「マイナンバーカード」か、マイナンバーの「通知カード」と本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)の提示が必要です。
面倒なことに、カードと本人確認書類は、去年提示していても、改めて提示する必要があります。
特に、郵送する場合は、本人確認書類のコピーを入れ忘れやすいので注意してください。
なお、ネットを利用した電子申告「e-tax」を利用する場合は、マイナンバーカードによる認証があるので、本人確認書類は必要ありません。
また、本人確認書類が必要なのは、申告を行なう本人だけです。配偶者や扶養親族の分は必要ありません。
不安のある人は、早めの相談を
国税庁では、「平成29年分の確定申告においてご留意いただきたい事項」を公開しており、上記の変更点について解説しています。
この記事で解説したもの以外では、次のような項目があります。
- 確定申告をすると、「ワンストップ特例」分を含めて、全てのふるさと納税の申告が必要となる
- ネットオークションやフリマアプリを利用した個人取引による所得は、原則として、確定申告が必要
新しい制度や、副収入などについて、不安のある方は、早めに税務署に行って相談しておきましょう。