手続きが簡単になった「医療費控除」で税金を取り戻そう

[2017/12/5 00:00]

医療費が年間10万円以上かかっていれば、税金が戻ってくる

2017年も年末が近づいてきましたが、年が明けると「還付申告」の受付が始まります。

ふだん、サラリーマンで年末調整が済んでいても、病気やケガなどで医療費を使った場合は、「医療費控除」を受ける人が多いでしょう。

医療費控除は、年間の医療費が「10万円」を超えていると対象になります。

還付申告を行なうことで、所得が「医療費控除」された金額で再計算され、所得税の一部が戻ってきます。

2017年(平成29年)分からは、医療費控除の規定が変わり、これまで必要だった「領収書」の添付が必要なくなりました。

また、「医療費控除の明細書」の書式も簡単になりました。

この記事では、変更点を中心に、2017年分の医療費控除の申告の方法を紹介します。

領収書の添付が不要になった

今年分の「医療費控除」の最大の変更点は、医療費の領収書を一緒に出さなくて良くなったことです。

これまでは、その年に使用した医療費の領収書を整理して、全部添付する必要がありました。

また、領収書を返送してもらうためには、封筒や切手などの準備が必要で、それを忘れると戻ってきませんでした。

今年からは、医療費の用途を書いた「医療費控除の明細書」を添付するだけですみます。

「医療費控除の明細書」の書式は簡単です。

  • 医療費を受けた人の氏名
  • 病院・薬局などの支払先の名称
  • 医療費の区分(4つのどれかにチェック)
  • 支払った医療費の額
  • 生命保険や社会保険などで補填される金額

だけになりました。

「医療費控除の明細書」の書式

しかも、この書式には「医療を受けた方の氏名」や「病院・薬局などの支払先の名称」ごとに、まとめて記入することができます。

例えば、「山本太郎、吉田クリニック、280,500円」のような書き方ができるのです。

これまで、入院や通院ごとに領収書を整理して記入していたことに比べれば、ずっと手間がかからなくなりました。

ただし、領収書がいらないからと言って、記憶だけでいい加減な金額を書いたり、受けていない医療費を申告できるわけではありません。

あくまでも、「医療費の領収書」を添付しなくて良いというだけで、「医療費の領収書」は自宅等で5年間保管する必要があります。

領収書の取り扱いに関する注意事項 出典:国税庁

また、「おむつ代」など一部の医療費については、添付が必要な書類があります。

必要な書類については、国税庁の「医療費控除の明細書」の注意事項を参照してください。

「医療費集計フォーム」も変更された

「医療費控除の明細書」の書式の変更によって、国税庁が用意している「医療費集計フォーム」というExcel形式のファイルも変更されました。

これまであった「支払い年月日」や「病院などの所在地」などの項目がなくなって簡単になっています。

国税庁のWebページでは、今年の分を以前の「医療費集計フォーム」で入力した人は、2つのファイルを開いて、コピー&ペーストするように書かれています。

ただ、今年の分からは、「医療を受けた方の氏名」や「病院・薬局などの支払先の名称」ごとにまとめることができるので、合計金額を計算して、あらためて入力しても良いでしょう。

手続きが簡単になったので、少しでも税金を取り戻そう

領収書の添付が必要なくなったおかげで、医療費控除の還付申告は、だいぶ簡単になりました。

特に、入退院を繰り返したり、通院が多くて、領収書が増えてしまう人にとっては朗報でしょう。

今年は、1万2千円から利用できる「セルフメディケーション税制」も始まっています。

これを機会に、今年使った医療費の領収書をチェックし、利用できる制度を使って、少しでも税金を取り戻しましょう。

[シニアガイド編集部]