地方移住を考えるときは、ガソリンスタンドへの距離も確認しよう
地方住まいでは「自動車」は必需品
都会から地方へ移住する際に、忘れてはいけないのが自動車の存在です。
公共交通機関が乏しい地域では、自動車を持っていないと日常生活に困ってしまいます。
一家で複数台の自動車を所有していることは珍しくありませんし、一人一台ずつ自動車を持っている例もあります。
政府による「地方移住ガイドブック」でも、「車が無くても大丈夫ですか」という質問に対して、「やはり地方では車が必需品です。(中略)運転免許証は取得しておいた方が良いでしょう」と回答されています。
自動車の無い生活というのは考えにくいほど、生活に密着した存在なのです。
ガソリンスタンドの位置をチェックしよう
「運転免許証」は持っていて、「自動車」も手配した、という時に、もう一つチェックしておきたいのが「ガソリンスタンド」です。
自動車を動かすためにはガソリンや軽油が必要ですが、それを販売するガソリンスタンドが、急速に減りつつあるのです。
ガソリンの販売量は、将来的に減少することが予想されているため、ガソリンスタンドは、都会でも数を減らしつつあります。
しかし、地方ではさらに厳しい状況にあります。
過疎地帯では人口が少なく、販売されるガソリンの量も少ないので、経営が成り立たなくなりつつあるのです。
都会のガソリンスタンドでは、月の粗利の平均が「514万円」ですが、過疎地では「33万円」という統計もあります。
全国で増加する「SS過疎地」
そして、全国で「SS過疎地」が増えています。
「SS」はサービスステーションの略で、ガソリンスタンドを指します。
「SS過疎地」とは、経産省の資源エネルギー庁が定めた用語で、「市町村内のガソリンスタンドが3カ所以内」の自治体と定義されています。
では、「SS過疎地」は、どれぐらいあるのでしょう。
2017年3月の時点で、ガソリンスタンドが「ゼロ」の市区町村が12町村あります。
また、ガソリンスタンドが「1カ所」が75町村、「2カ所」が101市町村、「3カ所」が114市町村あります。
つまり、「SS過疎地」は全国で302市町村もあります。
SS過疎地は、山岳地帯などの、いわゆる「過疎地」だけではなく、都市近郊でも発生しています。
例えば、「東京都清瀬市」「神奈川県逗子市」「大阪府藤井寺市」は、SS過疎地です。
SS過疎地は何が困るのか
SS過疎地に住むと、具体的にどのように困るのでしょう。
例えば、15km以内にガソリンスタンドが無い場合、給油のたびに、往復の距離をそれなりの時間を掛けて運転しなければなりません。
特に、天候の悪い台風シーズンや積雪のある冬は、給油のための移動が大きな負担となります。
SS過疎地であっても、都市近郊であれば、隣の市町村に給油に行ける場合もあります。
しかし、過疎地の場合、隣の市町村もSS過疎地である場合が珍しくありません。ガソリンスタンドへたどり着くまでの移動距離がさらに増えてしまいます。
そして、SS過疎地では、ガソリンや灯油の販売量が少ないため、現在営業している業者も、いつかは営業を停止する可能性があります。
そのため、廃業したガソリンスタンドを自治体が引き取って運営するなどの対策が始まっています。
ガソリンスタンドの有無は、行政が関与しなければならないほど、生活に大きな影響があるのです。
SS過疎地への対策
都会から地方への移住を検討する際は、まず目的の地域が「SS過疎地」であるかどうかを確認しましょう。
SS過疎地の一覧は、「SS過疎地対策ハンドブック」に掲載されています。
そして、居住予定地から、一番近いガソリンスタンドの位置と距離を確認しましょう。
さらに、そこが無くなった場合に備え、別のガソリンスタンドの位置と距離も把握しておきましょう。
都会から移住する場合は、自動車を所有していない場合も多く、ガソリンスタンドや、パンクの修理ができる業者の位置を確認することを忘れがちです。
「自動車は必需品」と考えて、その運用に必要な施設の位置は、忘れずに確認しましょう。