配偶者によるDVは「30代」がピーク。加害者の8割以上が男性
「ドメスティック・バイオレンス」は配偶者からの暴力
警察庁が、2017年に起きた配偶者から暴力を受けた事件について報告書を公開しています。
配偶者による暴力は、一般に「ドメスティック・バイオレンス」と呼ばれ、「DV」と略されます。
日本では、2001年に、ドメスティック・バイオレンスを防止する法律ができ、「DV防止法」と通称されています。
なお、DVは配偶者またはそれに準じた者による暴力であり、親や子供などによる家庭内暴力とは区別されています。
DVの相談件数は、年間7万件を超える
DVに関する相談件数は、年々増えています。
2017年は72,455件でした。
DV防止法が施行された翌年の2002年は14,140件でした。
15年間で5倍以上に増えています。
これらの相談によって、DV防止法により80件、刑事事件として8,342件が検挙されています。
DVによる相談のほとんどが、「暴行」や「傷害」を伴っており、刑事事件として扱われていることが分かります。
被害者の8割以上が女性
DVに関する相談では、被害者の8割以上は「女性」です。
つまり、加害者の8割以上が「男性」です。
年齢別に見ると、「30代」をピークとして、「20代」から「40代」で多いことが分かります。
加害者の7割以上は結婚相手
DVの被害者と加害者の関係を見てみましょう。
これは、大きく3つに分けられます。
- 婚姻(こんいん)関係(元を含む)
- 内縁関係(元を含む)
- 生活の本拠を共にする交際(元を含む)
被害者と加害者の関係の7割以上は、過去を含めて「婚姻関係」にあり、深い間柄であったことがわかります。
「婚姻関係」は、いわゆる「法律婚」で、婚姻届を出しています。
二人の間に、婚姻をする合意である「婚姻する意思」があり、「婚姻届」を出して「共同生活」をしています。
「内縁関係」は、いわゆる「事実婚」で、「婚姻する意思」と「共同生活」は満たしていますが、婚姻届を出していません。
「生活の本拠を共にする交際」は、いわゆる「同棲(どうせい)」で、「婚姻意思」がなく「共同生活」のみを送っている状態です。
なお、単に共同生活を条件にすると、ルームシェアや社員寮、親子などの親族関係も含まれてしまうため、「婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く」と注記されています。
このように難しい条件を付けてまでも、DV防止法の範囲を広げているのは、共同生活を送っている場合は、外部からの発見や介入が困難であり、かつ、継続的になりやすいという特徴があるためです。
これによって、婚姻の意志に関わらず、共同生活を送っていればDV防止法に基づく対策が取れるようになりました。
全国共通のDVの相談窓口
DVの相談窓口は、配偶者暴力相談支援センターを始めとして多くの機関で用意されています。
そのため、相談窓口が分かりにくいという事情があるため、全国共通の電話番号(Tel.0570-0-55210)から相談機関を案内する「DV相談ナビサービス」が用意されています。
配偶者からの暴力に悩んでいることを、どこに相談すればよいかわからないという場合は、まず、この番号に掛けてみましょう。
先に触れたように、DV防止法では、法律婚だけではなく、事実婚や同棲の場合でも、対策が取れるようになっています。
また、困っているのはあなただけではありません。同じような悩みで相談している人が、年間で7万人以上もいます。
配偶者や、それに準じた加害者からの暴力などで悩んでいる場合は、まず相談することをお勧めします。