ふだんは気が付きにくい、親の変化を確認するための「10のチェック項目」

[2018/3/24 01:51]

専門家による、10項目のチェックリスト

離れて住む親の見守りサービス「遠くても安心プラン」を提供している東京電力エナジーパートナーが、子供が気が付きにくい親の変化を確認するための「10のチェック項目」を公開しています。

この10項目は、桜美林大学大学院老年学研究科の渡辺修一郎教授と、シニアライフデザインの堀内裕子代表が監修しています。

各項目を紹介し、記事末に渡辺教授と堀内代表のコメントを付します。

週に1回以上外出している!? 今までより外出頻度が減っていない?

外出が週1回未満または外出頻度が減っている場合、閉じこもりの可能性あり。

閉じこもりの要因

  • 身体的要因 (膝痛、腰痛、転倒による骨折、脳卒中の後遺症などにより体を動かしづらくなって活動範囲が狭くなる)
  • 精神的要因 (転倒の恐怖、親しい人との別れ、自分の行動に自信がないなど)
  • 社会環境的要因(家の周りに坂道や階段が多い、仲間や友人が近くにいない、近隣と付き合いが少ない、高齢や病気を理由に家族から外出を控えるようにいわれるなど)

最近5年くらいの出来事の話をして覚えている?

体験そのものを忘れているようであれば認知症である可能性大。

認知症のサインの種類

  • 軽度の認知機能低下のサイン:同じ話を何度も繰り返して話す/料理の味付けが変わった
    →認知症の初期、または、老化や亜鉛不足などによる味覚の低下の可能性有
  • 中等度の認知機能低下のサイン:同じものを何度も買う/季節や天候に合わない服装をする
    →ものわすれ外来の受診を勧める。介護予防事業への参加を勧める

今まで好きでしていた作業や趣味などを楽しんで続けられている? 声が小さくなっていない?

今までしていたことに2週間以上興味がなくなっている場合、うつの可能性有。

起床時刻、就床時刻は以前と変わらない?

起床または就床の時刻が大きく変わっている場合、生活リズム障害が生じている可能性有。

この1年は転ばずに過ごせた?

転倒の既往がある場合その状況を詳しく聞き、原因を検討し、対策を講じる。

この半年に3kg以上体重が増減していない?

減量に取り組んでいないのに3kg以上のやせがみられる場合、背景にがんなどの重大な病気が生じていたり、低栄養になっている可能性有。

食事中にむせたり、のどからゴロゴロと音が出ていない?

食事中にむせたり、のどの異変は誤嚥のサイン。

食事の際にお茶や水を飲んでいる?トイレの回数が少なくなっていたり、うとうとしたりしていない?

水分補給やトイレの回数の異変は脱水のサイン。

夜トイレに何回起きる!? そのため寝不足になっていない?

トイレに1回以上起き、そのため寝不足など生活に支障を生じている場合、夜間頻尿のサイン。

耳の聞こえ方、目の見え方が悪くなってない?

通常の声で会話が難しくなっている場合、聴力低下または認知機能低下が原因であることが多い。耳垢が外耳道に栓をしていないかもチェックする。薄黄色にかすんで見えたり、暗いところで見えにくかったり、明るいところで光が散乱したりする場合、白内障の可能性大。

渡辺修一郎教授のコメント

高齢期の心身の衰えを知るためには、一般の健康診断での症状や検査値のチェックだけでは不十分で、さまざまの生活機能の把握が重要となります。

レオナルド・ダ・ヴィンチは「知ることが少なければ愛することも少ない」という名言を遺しています。

「10のチェック項目」を参考に、みなさんの大切な人の「今」を知りましょう。また「対策しなければと思っているができてない」というのは、親の老後の不安に対してだけでなく、みなさん自身にも心あたりはありませんか?

例えば、健診後の再検査の受診、運動不足や食事のアンバランスなどの生活のひずみなど。課題に取組まないのは「ネグレクト(放棄・放任)」ともいわれます。いろいろな資源を活用して対策に取り組みましょう。

堀内裕子代表のコメント

「自分の親は大丈夫」と思っている人がとても多いことは常に感じています。

また、専門家から見ると、明らかに早く病院にかかった方がよいという状態であっても「まだしっかりしている時もあるから」と、親の老いを認められない子どもさんも多くいらっしゃいます。

不安はあっても「まだ大丈夫」という気持ちや、子どもさん自身が忙しいこともあり、対応が遅れることがよく見うけられます。

どんな人にも訪れる正常老化。体の変化や生活の変化をいち早く察知することで、認知症や閉じこもりのサインを見逃すことなく、予防やしかるべき対応につなげ、健康寿命を延ばすことは、子ども世代の生活を守る大切なポイントでもあります。

介護離職を防ぎ、子ども自身の転ばぬ先の杖対策も今後必要だと感じています。

[シニアガイド編集部]