3月から4月は、年度の変わり目で、引っ越しを行なう人が増える時期です。
転居先の不動産を探す時に、多くの人が利用するのは、インターネット上の不動産ポータルサイトです。
しかし、多数の物件が掲載されるポータルサイトでは、その中で目立つために違法な情報を掲載している不動産業者が少なくありません。
不動産を探す人が、一番気をつけなければならないのが「おとり物件」です。
「おとり物件」は、実際には存在しない物件の情報を掲載し、それをもとにして連絡してきた人に、他の物件を紹介するものです。
実際には存在しない、条件の良い物件を“おとり”にして人を集め、「あれは売れちゃったんですけど、同じような条件の良い物件がありますよ」というセールストークで、他の物件を紹介するわけです。
問い合わせをした不動産業者が、次のような理由で、問い合わせた物件を紹介できないと言われたら、おとり物件の可能性が高いでしょう。
おとり物件の存在によって、不動産を探している人は、正しい情報にたどりつくことができない上に、おとり物件を出すような悪質な業者に、その業者が売りたい物件を押し付けられてしまいます。
不動産ポータルサイトが加盟している業界団体「公益社団法人 首都圏不動産公正取引協議会」では、おとり物件の調査を2度に渡って行なっています。
これは、おとり物件を出している可能性がある業者を選び、その物件を抜き打ちで調査したものです。
全数検査ではなく、抜き出し検査なのですが、毎回ちゃんと「おとり物件」が見つかっています。
2017年3月から行なわれた「第1回」の調査では、143社が掲載した929件の物件情報のうち、78件がおとり物件でした。
おとり物件の率は「8.3%」です。
2017年11月から行なわれた「第2回」の調査では、52社が掲載した1,059件の物件情報のうち、18件がおとり物件でした。
おとり物件の率は「1.6%」でした。
不動産ポータルサイトでは、おとり物件などで行政処分を受けた場合には、広告掲載の一定期間の掲載停止や契約を解除するなどの措置をとっています。
広告が掲載できなかったり、契約が解除されるというは、不動産業者には重い罰なのですが、それでも、「おとり物件」は無くなりません。
それだけ、おとり物件による集客力が高く、止められなくなってしまうのでしょう。
「おとり物件」らしき物件情報を見つけたら、不動産ポータルサイトに用意されているフォームで、掲載先に情報提供しましょう。
不動産ポータルサイトのトップページと、情報提供用フォームのリンクを掲載します。
なお、おとり物件かどうかを調査するというWebサイトも存在しますが、それを利用するためには、そのサイトの会員になる必要があります。
つまり、おとり物件かどうかを確認するためだけに、自分の個人情報を握られてしまうわけです。
そこまでせずに、「売れてしまった」「内見できない」などと言われたら、不動産ポータルサイトに情報提供をして、次の物件を探す方が建設的な行動でしょう。