ワケありだけど、家賃が半額になる「特別募集住宅」

[2018/6/17 00:00]
最新のUR賃貸住宅

全国に約73万戸ある「UR賃貸住宅」

独立行政法人 都市再生機構の賃貸住宅は、全国に約73万戸があり、公的な賃貸住宅として大きなシェアを持っています。

50歳以上の方には「公団住宅」と言った方が、分かりやすいでしょう。

いろいろな遍歴の末、現在は都市再生機構の英語略称を使って「UR賃貸住宅」と呼ばれています。

礼金、仲介手数料、更新料がいらない

UR賃貸住宅の特徴はいろいろありますが、入居時のお金が少ないことが利点です。

具体的には、礼金、仲介手数料、更新料がいりません。

家賃2ヶ月分の「敷金」と、「日割り家賃」「日割り共益費」のみで入居できます。

また、「保証人」がいらないのも大きなメリットです。

家賃が半額になる「特別募集住宅」

メリットの多い「UR賃貸住宅」の中でも、とりわけ特色があるのが「特別募集住宅」です。

これは、その部屋に住んでいた人が、そこで亡くなられた住宅です。

もちろん、必要なクリーニングなどは充分に行なわれています。

そして、「入居から1年間または2年間、家賃が半額」になります。

例えば、2018年6月時点で掲載されている、東京都葛飾区の「金町駅前」の物件を見てみましょう。

11階建ての11階にある、この部屋は2DKで、43平方mあります。

通常の家賃は「81,900円」ですが、入居後の1年間は、家賃が「40,950円」に割り引かれます。

つまり、年間で「491,400円」も家賃が安くなります。

共益費の割引はありません。

JRの金町駅から、徒歩2分という立地を考えれば、かなり安いと言えるでしょう。

もちろん、この物件は調査時のもので、いつもあるわけではありません。しかし、いつ見ても、半額の物件はあります。

「心の負担」のチェックを

「特別募集住宅」には、3つ注意事項があります。

1つ目は、「その場所で人が死んでいた」という事実が、心の負担となることです。

こういうことは、気にならない人には、まったく気になりませんが、気にする人にとっては大きな負担となります。

せっかくの「我が家」が、帰りたくない場所や、不安な場所になってしまってはいけません。

入居にあたっては、自分だけではなく、家族の性格や心理的状況も考えて、よく検討しましょう。

2つ目は、申込み方法です。

他のUR賃貸住宅と異なり、インターネットでの申し込みはできません。

URの店舗や現地案内所に、直接問い合わせる必要があります。

たぶん、物件の心理的瑕疵(かし)について、対面で説明と確認をする必要があるのでしょう。

また、イタズラで応募する人を防ぐという意味もあるのでしょう。

3つ目は、家賃の割引があるのは「一般向け住宅」に限られていることです。

同じ「特別募集住宅」でも、「高齢者向け優良賃貸住宅」は、割引の対象になっていません。

「高齢者向け優良賃貸住宅」は、高齢者を対象に、床の段差の解消や手すりの設置などを行ない、所得が少ない場合には、家賃の軽減措置がある住宅です。

高齢者向け住宅なので、自宅で死去する場合が多いでしょう。

また、家賃の割引を行なわなくても、必要であれば軽減措置を利用すれば良いのでしょう。

少しずつ減りつつあるUR内の孤独死

最後に、UR賃貸住宅での、孤独死の統計を見ておきましょう。

2015年に、単身居者が誰にも看取られることなく死亡し、1週間を超えて発見されなかった事故は「179件」ありました。

そのうち、「65歳以上」が136件を占めています。

この数字だけ見れば多いように見えますが、母数が約73万戸と大きいので割合としては、すごく高いというわけではありません。

また、近年は孤独死対策の効果か、少しずつ減りつつあります。

この傾向が続き、「特別募集住宅」が増えないことを祈りましょう。

出典:都市再生機構の統計を基に編集部が作成
[シニアガイド編集部]