一人暮らしが不安になった時の「ケアハウス」という選択肢

[2018/7/3 00:00]

「ケアハウス」という老人ホーム

離れて暮らしている親が、そろそろ一人暮らしが不安になってきた。

しかし、介護保険の「要介護認定」を受けるほど、状態は悪くない。

こういうときに、入居できる施設を探すのは、難しいものです。

特に、資金に余裕がないと、入居できる老人ホームが少なく、施設探しに苦労します。

ここでは、そういうときに覚えておきたい候補の1つとして「ケアハウス」を紹介します。

60歳以上なら入居できる

「ケアハウス」は、「軽費老人ホーム」と呼ばれる老人ホームの一種です。

その特徴は次のとおりです。

  • 60歳以上で自立した生活に不安のある人が対象
  • 家族の援助を受けるのが困難な人
  • 食事と生活支援サービスが付いている
  • 自立型と介護型があるが、介護型は少ない
  • 部屋は21.6平方m(約6坪)以上。2人部屋がある施設もある
  • 日中は職員が常駐している
  • 低所得者でも入居できるように、自治体や国から助成金が出ている
  • 本人の収入に応じて料金が変わる

ケアハウスの生活イメージ

ケアハウスは、それぞれの施設の違いが大きくて、イメージがつかみにくい存在です。

ここからは、埼玉県のあるケアハウスを例にして、その生活イメージを紹介しましょう。

あくまでも1つの例に過ぎませんが、ある程度のイメージは持ってもらえると思います。

ケアハウスの居室の例

このケアハウスは「自立型」で、介護を受けるための施設ではありません。

位置づけとしては「住宅」です。

廊下は共有空間で、自分の部屋とは、ドア一枚で隔てられています。

部屋はワンルーム型で、ドアを開けると3畳間ぐらいの空間に、洗面台、トイレ、クローゼット、洗濯機置場があります。

その奥に6畳ほどの居室があります。

部屋の窓は南向きで、外は1畳間ほどのベランダになっています。

「住宅」なので、家具と電気製品は自分で選んだものを持ち込みます。

多くの人は、テレビと冷蔵庫、洗濯機、掃除機を備えていました。

このケアハウスでは、部屋のエアコンは備品ではなく、自分持ちでした。

故障や交換の際は修理費がかかります。

なお、生活支援サービスの一環として、居室の掃除、洗濯、買い物などが付いている施設もありますが、この施設では、掃除と洗濯は自分でおこないます。

食事とお風呂は共同

起床時間や就寝時間などは、特にありません。

部屋にはコンロなどの調理設備はなく、食事は大食堂で供されます。

献立は週単位で用意され、大食堂の壁に貼られています。

大食堂に掲示されていた、週の献立

お風呂も部屋にはなく、大浴場を利用します。

外出は自由ですが、夜間の外出は、宿直の職員にチェックされます。

買い物は、店舗が遠いため、近隣のショッピングモールまで、週に1回マイクロバスで送迎をしてくれます。

病院との連携

ケアハウスのフロアの中央に、ステーションがあり、9時から5時までスタッフが常駐しています。

体調が悪いときなどは、ステーションに申し出ることで、近隣の病院と連絡を取ってくれます。

この施設では、特別養護老人ホームも併設されているので、症状が重い場合は、そちらの車椅子対応の自動車を利用することもできます。

なお、自立型のケアハウスでは、介護は目的としていません。

要支援レベルであれば、外部の業者が提供する居宅サービスを受けることができますが、要介護になると、別の施設へ移る必要があります。

大食堂に集まる入居者を見ていても、歩行器などの補助具を使っている人はいましたが、車イスを使っている人はいませんでした。

歩行用の補助具の例

年収によっては、月7万円前後で入れる

ケアハウスの料金は、「事務費」「生活費」「管理費」の3つが基本になっています。

「事務費」は、本人の年収に応じて17段階に変わります。

「生活費」と「管理費」は、年収によらず一律です。

このケアハウスの場合、「事務費」「生活費」「管理費」の総額は、年収が150万円未満なら「69,090円」ですが、年収が300万円以上なら「146,290円」でした。

なんと、2倍以上の差があります。

ケアハウスは公的な施設という要素が強く、年収が少ない人ほど負担が少なくなっているのです。

年金が無いなどの理由で、年収が低い人にとって、月に7万円前後からという費用は魅力的な存在です。

なお、各部屋の電気代と水道代は、別途請求されます。

両方合わせて、1万円前後ということでした。

入居時の一時金なしも可能

このケアハウスでは、入居時の一時金はありません。

ただし、「管理費」を前納するという形で、ある程度のお金を預ける制度があります。

選択肢は「250万円」「130万円」「0円」で、前納した金額によって、毎月の「管理費」が変わります。

「0円」を選択すると、一時金なしで入居することができます。

ただし、前納しない場合は、退所時に必要な、部屋の片付けや、リフォームなどの費用を、自分で用意しておく必要があります。目安としては、30~40万円ぐらいです。

管理費を前納しておくと、これらの費用も含めて精算が行なわれ、残金が返却されます。

生活イメージはシェアハウスに近い

取材の時点では、入居者の8割は女性でした。

複数の入居者にインタビューしましたが、夫を亡くして一人暮らしになり、心配した子供が、ここを探してきたというパターンが多いようです。

みなさん、ケアハウスの生活に、おおむね満足していらっしゃいました。

特に、一人で暮らしていた状態よりも、会話が増えたことを利点として挙げる人が多かったです。

一方、不満点として挙がったのは、自分の部屋で火が使えないことと、自分の部屋に他の部屋の住民を呼べないことでした。

各部屋で火が使えないのは、火災を防ぐためです。

また、同じ入居者と話をする場合は食堂が推奨され、自分の部屋に招くことは禁止されています。

過剰に親密になることで、人間関係のトラブルが発生した経験から作られたルールということでした。

自分の部屋と共同空間を意識しながら生活するところは、シェアハウスや下宿屋をイメージすると分かりやすいでしょう。

ただ、高齢者施設という性格上、自室内でも一定の制約がある点が異なります。

ケアハウスの探し方

厚労省の統計によれば、ケアハウスは、全国に約2,000施設あります。

探すときは、「軽費老人ホーム+都道府県名」または「ケアハウス+都道府県名」で検索すると、その県の高齢者施設名簿が出てきます。

また、業界団体である全国軽費老人ホーム協議会のサイトでも検索できます。

老人ホーム検索サイトでは、「みんなの介護」が、ケアハウスの登録が多めです。

入所前に、ぜひ「お試し」を

今回紹介した施設は、あくまでもケアハウスの1つの例にすぎません。

同じ法規で縛られていても、運営する団体とスタッフの努力によって、各施設の雰囲気は大きく変わります。

実際に入居を検討する場合は、日中に短時間訪れるだけではなく、「お試し入所」などの名前で用意されている短期入所体験を利用して、何泊かすることをおすすめします。

入居されている方と、何度か食事を共にすると、そこで暮らせるかどうか把握することができるでしょう。

[シニアガイド編集部]
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