親の家から出てきた「厚生年金保険被保険者証」はどうすれば良いか

[2018/7/4 00:00]
「厚生年金保険被保険者証」

親の私物から、年金の書類が出てきた

親の家や遺品を片付けていると、「厚生年金保険被保険者証」というカードが出てくることがあります。

一見すると、民間の生命保険の保険証のように見えるのですが、実は、厚生年金に加入していることを表す公的な書類なのです。

この記事では、こういう年金関係の書類が出てきたときに、どう処理すればよいのかを、年金手帳の移り変わりも含めて紹介します。

「年金手帳」以前の証明書類

日本の年金制度は、ばらばらにできた制度が、1つに統合される過程にあります。

年金に加入していることを証明する書類も、以前は制度ごとに分かれていました。

厚生年金は「厚生年金保険被保険者証」という証書、国民年金は「国民年金手帳」という手帳形式でした。

現在の「厚生年金」と「国民年金」を統合した「年金手帳」ができたのは、1974年(昭和49年)です。

それ以前に、国民年金や厚生年金に加入していた人は、「厚生年金保険被保険者証」や「国民年金手帳」を持っているわけです。

「国民年金手帳」と「年金手帳」 出典:日本年金機構

なお、すでに年金を受け取っている場合は「年金証書」という書類が手元に送られてきています。

この年金証書や、表紙が青い年金手帳には「基礎年金番号」が書かれており、すべての年金記録が、この番号で管理されています。

「年金証書」の例 出典:厚労省

親の年金が増える可能性がある

「厚生年金保険被保険者証」が出てきたということは、どんなことが起きる可能性があるのでしょう。

一言で言えば、親の年金の金額が増える可能性があります。

現在の日本の年金制度は「基礎年金番号」に、加入の記録を統合しています。

しかし、すべての情報を統合できているわけではありません。

ひょっとしたら、見つかった「厚生年金保険被保険者証」が示す記録が、「基礎年金番号」の記録に含まれていない可能性があります。

新しい加入期間が見つかって、年金を計算する加入期間が長くなれば、年金の金額が増えます。

また、これまで国民年金だけだと思っていたのに、厚生年金にも加入していた時期があったと分かれば、もっと年金が増える可能性があります。

親が死んでいる場合も支給の可能性がある

もし、対象となる親が亡くなっていた場合でも、可能性は残っています。

例えば、自分は年金の加入期間が足りなくて「無年金」だと思っていた親の加入期間が増え、年金がもらえていた可能性があります。

国民年金の情報と、厚生年金の情報が統合されていないままで、年金が出ていなかったという例もありますから、可能性はゼロではありません。

この場合、「未支給年金」として、遺族が受け取れる可能性があります。

そこまで行かなくても、国民年金の加入期間が3年あれば、「死亡一時金」が出る可能性もあります。

「厚生年金保険被保険者証」以外でも可能性が

ここでは、厚生年金の「厚生年金保険被保険者証」を中心に紹介しました。

しかし、年金の加入を証明する書類は、これ以外にもあります。

  • 国民年金
  • 厚生年金
  • 船員保険
  • 公務員共済
  • 私学共済

これらに関係する証書が出てきたら、全部まとめて年金事務所に持参して確認しましょう。

もちろん、「年金証書」がある場合は一緒に持っていきます。

その場で調べると時間がかかるので、あらかじめ電話予約をしてから行くことをおすすめします。

古い共済の記録以外は年金事務所で確認できます。

また、同じ名義の年金手帳が複数出てくる場合もあります。

これも念のために、年金事務所で確認しておきましょう。

基礎年金番号で管理できていない、漏れた記録がある可能性があります。

もちろん、新しく出てきた証書や年金手帳の記録が、すべて基礎年金番号に統合済みで、何も変わらない可能性もあります。

その場合でも、親の年金記録が、正しいものであったという確認ができてスッキリします。

また、一部とはいえ、親の生涯の歩みが分かることも面白い体験です。

[シニアガイド編集部]