親の家から出てきた「厚生年金保険被保険者証」はどうすれば良いか
親の私物から、年金の書類が出てきた
親の家や遺品を片付けていると、「厚生年金保険被保険者証」というカードが出てくることがあります。
一見すると、民間の生命保険の保険証のように見えるのですが、実は、厚生年金に加入していることを表す公的な書類なのです。
この記事では、こういう年金関係の書類が出てきたときに、どう処理すればよいのかを、年金手帳の移り変わりも含めて紹介します。
「年金手帳」以前の証明書類
日本の年金制度は、ばらばらにできた制度が、1つに統合される過程にあります。
年金に加入していることを証明する書類も、以前は制度ごとに分かれていました。
厚生年金は「厚生年金保険被保険者証」という証書、国民年金は「国民年金手帳」という手帳形式でした。
現在の「厚生年金」と「国民年金」を統合した「年金手帳」ができたのは、1974年(昭和49年)です。
それ以前に、国民年金や厚生年金に加入していた人は、「厚生年金保険被保険者証」や「国民年金手帳」を持っているわけです。
なお、すでに年金を受け取っている場合は「年金証書」という書類が手元に送られてきています。
この年金証書や、表紙が青い年金手帳には「基礎年金番号」が書かれており、すべての年金記録が、この番号で管理されています。
親の年金が増える可能性がある
「厚生年金保険被保険者証」が出てきたということは、どんなことが起きる可能性があるのでしょう。
一言で言えば、親の年金の金額が増える可能性があります。
現在の日本の年金制度は「基礎年金番号」に、加入の記録を統合しています。
しかし、すべての情報を統合できているわけではありません。
ひょっとしたら、見つかった「厚生年金保険被保険者証」が示す記録が、「基礎年金番号」の記録に含まれていない可能性があります。
新しい加入期間が見つかって、年金を計算する加入期間が長くなれば、年金の金額が増えます。
また、これまで国民年金だけだと思っていたのに、厚生年金にも加入していた時期があったと分かれば、もっと年金が増える可能性があります。
親が死んでいる場合も支給の可能性がある
もし、対象となる親が亡くなっていた場合でも、可能性は残っています。
例えば、自分は年金の加入期間が足りなくて「無年金」だと思っていた親の加入期間が増え、年金がもらえていた可能性があります。
国民年金の情報と、厚生年金の情報が統合されていないままで、年金が出ていなかったという例もありますから、可能性はゼロではありません。
この場合、「未支給年金」として、遺族が受け取れる可能性があります。
そこまで行かなくても、国民年金の加入期間が3年あれば、「死亡一時金」が出る可能性もあります。
「厚生年金保険被保険者証」以外でも可能性が
ここでは、厚生年金の「厚生年金保険被保険者証」を中心に紹介しました。
しかし、年金の加入を証明する書類は、これ以外にもあります。
- 国民年金
- 厚生年金
- 船員保険
- 公務員共済
- 私学共済
これらに関係する証書が出てきたら、全部まとめて年金事務所に持参して確認しましょう。
もちろん、「年金証書」がある場合は一緒に持っていきます。
その場で調べると時間がかかるので、あらかじめ電話予約をしてから行くことをおすすめします。
古い共済の記録以外は年金事務所で確認できます。
また、同じ名義の年金手帳が複数出てくる場合もあります。
これも念のために、年金事務所で確認しておきましょう。
基礎年金番号で管理できていない、漏れた記録がある可能性があります。
もちろん、新しく出てきた証書や年金手帳の記録が、すべて基礎年金番号に統合済みで、何も変わらない可能性もあります。
その場合でも、親の年金記録が、正しいものであったという確認ができてスッキリします。
また、一部とはいえ、親の生涯の歩みが分かることも面白い体験です。