会社が倒産しても、未払いの給与がもらえる「未払賃金立替払制度」
会社が倒産したときに給与を立て替えてくれる制度
2017年の1年間に、倒産した会社は8,405件(東京商工リサーチ調べ)もあり、少なくとも数万人の従業員が職を失っています。
倒産の状況によっては、従業員の賃金が未払いになっている場合もあるでしょう。
そんなときに、会社に代わって、未払いの賃金を立て替え払いしてくれる制度があります。
それが、独立行政法人 労働者健康安全機構の「未払賃金立替払制度」です。
この記事では、この制度の概要と、申込み方法などを紹介します。
一人あたり38万円を受け取っている
「未払賃金立替払制度」は、平成29年度(2017年度)には、1,979の会社が対象となり、22,458人が利用している制度です。
立替払いの総額は86億6千万円に及び、一人当り「38万6千円」を受け取っています。
多くの人が利用している制度ですから、積極的に利用しましょう。
パート、アルバイトも対象
「未払賃金立替払制度」の対象となる人は、雇用され賃金の支払いを受けていた従業員です。
正社員だけではなく、パートやアルバイトなども対象となります。
対象となる従業員は、倒産または倒産認定の日の前の6カ月間、および、その後の2年間に退職した人です。
対象となる企業は、1年以上企業活動を行なっていれば、法人でなく、個人事業でもかまいません。
企業が倒産する場合の手続きは、破産手続を始めとして、いくつか種類がありますが、どれでも大丈夫です。
ただし、倒産の手続きをせずに社長が夜逃げをしたなど、“事実上の倒産”にある場合は、届け出をして倒産の認定をしてもらう必要があります。
45歳以上で296万円が上限
「未払賃金立替払制度」では、どの範囲の賃金が対象となるのでしょう。
この制度の対象となるのは、倒産の日から半年以内の未払いの賃金と退職金です。なお、ボーナスは対象となりません。
立て替えられる金額は、未払い賃金の総額ではなく、その8割にあたる金額になります。
また、退職時の年齢によって、賃金の総額に上限が定められています。
- 30歳未満 110万円(88万円)
- 30歳以上45歳未満 220万円(176万円)
- 45歳以上 370万円(296万円)
カッコ内の金額は、実際に支払われる金額の上限です。
たとえば、「45歳以上」の場合、限度額が370万円ですから、立替払いの上限は、その8割の296万円となります。
請求できるのは倒産から2年以内
立替払いの請求ができる期間は、倒産が決定した日から2年以内です。
ただし、退職後6カ月以内に、裁判所への倒産手続き開始等の申立て、または労働基準監督署長への認定申請がなされなかった場合は、立替払いの対象になりません。
つまり、法的な倒産手続きがされていない場合は、倒産しているという認定を受けないと、立替払いが始まりません。
倒産を認定してもらう必要がある場合は、できるだけ早く相談に行きましょう。
窓口は労働基準監督署
「未払賃金立替払制度」の相談窓口は、労働基準監督署(労基)になります。
また、神奈川県川崎市にある労働者健康安全機構の立替払相談コーナーでも受け付けています。
まず、もよりの労基に相談してみましょう。