手先が器用な人が自宅で作業できる「内職」という働き方
「内職」という働き方
「内職(ないしょく)」という言葉を聞いたことがありますか。
「内職」は、働き方の1つで、自宅で行なう手作業が中心の仕事とです。
本業となる働き方ではなく、家計の足しにする補助的な収入を得るため働き方です。
パートやアルバイトと違うのは、働く場所が自宅であること、会社に雇われるのではなく、個人事業主として仕事を引き受けることです。
つまり、仕事をくれる人と1対1で契約して、その仕事を引き受ける働き方なのです。
「内職」は昔からある古臭い働き方ですが、手先が器用でミシンや和裁、洋裁などの知識がある人にとっては、時間が自由で働きやすい仕事です。
例えば、荒川区では次のような人には内職が向いているとしています。
- 家の中でお仕事をしたい方
- お子様がまだ小さく、外に働きに出られない方
- ブランクが長く、いきなり働きに出るのは不安な方
クラウドワーキングとの違い
「内職」は、自宅で作業することや、業者と1対1で取引を行なう点で、「クラウドワーキング」に似ています。
ただ、クラウドワーキングが、パソコンを使ったIT寄りの作業が中心なのに対して、内職は手作業が中心です。
人によって、得意な作業がありますから、自分の適性や好みによって選びましょう。
内職の内容
現在の内職の仕事は、手工芸や衣類の修理などが中心です。
例えば、次のような仕事があります。
- コサージュの工程
- 革バッグ、革小物縫製
- ビーズ等袋詰め、値札付等
- ダンスドレス製作(裁断/縫製)
- 和装のつくろい/縫製
- 洋服のお直し
- ろう付け
求職の条件として「手先が器用な方」や「目の良い器用な方」が多いのが特徴です。
また、「工業用ミシンがあること」「ペット不可」などの条件が付くこともあります。
内職の探し方
内職は「雇用」ではないため、ハローワークでは紹介してくれません。
また、アルバイトやパートの就職情報サイトでも、「内職」を検索するのは簡単ではありません。
おすすめしたい方法は、地方自治体による斡旋(あっせん)です。
内職が多い地域では、市区町村が内職を紹介していることが少なくありません。
例えば、東京都の台東区や荒川区、江東区などでは、区民に対して内職の斡旋をしています。
内職を希望する人と業者の間に、市区町村が入っていると、詐欺やトラブルになる可能性が減るというメリットもあります。
まず、地元の市区町村のホームページで内職の斡旋をしていないか探してみましょう。
なお、以前に比べて内職をする人も、内職を紹介する「委託者」も少なくなっています。すべての都道府県で内職が見つかるとは限りません。
次の11の県は、2018年現在で内職を含む家内労働者が人が3,000人を越えている県です。
これらの県は、比較的、内職が探しやすい県と思って良いでしょう。
家内労働者が3千人を超えている県
愛知県、東京都、静岡県、大阪府、埼玉県、岡山県、兵庫県、長野県、群馬県、京都府、滋賀県
内職のチェックポイント
内職で問題になりやすい点も挙げておきましょう。
まず、一般的に内職は単価が高くありません。
比較的簡単な「ビーズ袋詰め」などでは、1個の単価が「0.5円」からです。
ミシンを使う仕事でも、単価は「数百円~千円」ぐらいが多いようです。
自分の技量が上がって、数がこなせるか、質が高くならないと、収入に結びつきません。内職は、自分の「手」で稼ぐ仕事なのです。
逆に、内職の募集で「だれでも簡単に稼げる」と書いてあったら、詐欺と思って良いでしょう。
次に、「通い」の問題があります。
ある程度以上の専門的な仕事の場合、最初は事務所に通ってやり方を習うことがあります。
育児や介護などで自宅を離れられない事情があると、通いができなくて断念する場合があります。
そして、自動車の問題があります。
内職で扱う材料や製品は大きく重いものが少なくありません。材料の受け取りや、完成品の納品に自動車が必要な場合があります。
業者が運んでくれる場合や、宅配便を使ってくれる場合もありますが、仕事を始めるときは、自動車の必要性を確認しておきましょう。
内職は誰にでも勧められる働き方ではありません。しかし、「自分の手につけた職」で仕事をしたい人にはメリットがある働き方です。
和裁や洋裁を習ったけれど、仕事にできるかどうか不安というような人も、一度検討してみてはいかがでしょう。