手先が器用な人が自宅で作業できる「内職」という働き方

[2019/4/10 00:00]

「内職」という働き方

「内職(ないしょく)」という言葉を聞いたことがありますか。

「内職」は、働き方の1つで、自宅で行なう手作業が中心の仕事とです。

本業となる働き方ではなく、家計の足しにする補助的な収入を得るため働き方です。

パートやアルバイトと違うのは、働く場所が自宅であること、会社に雇われるのではなく、個人事業主として仕事を引き受けることです。

つまり、仕事をくれる人と1対1で契約して、その仕事を引き受ける働き方なのです。

「内職」は昔からある古臭い働き方ですが、手先が器用でミシンや和裁、洋裁などの知識がある人にとっては、時間が自由で働きやすい仕事です。

例えば、荒川区では次のような人には内職が向いているとしています。

  • 家の中でお仕事をしたい方
  • お子様がまだ小さく、外に働きに出られない方
  • ブランクが長く、いきなり働きに出るのは不安な方

クラウドワーキングとの違い

「内職」は、自宅で作業することや、業者と1対1で取引を行なう点で、「クラウドワーキング」に似ています。

ただ、クラウドワーキングが、パソコンを使ったIT寄りの作業が中心なのに対して、内職は手作業が中心です。

人によって、得意な作業がありますから、自分の適性や好みによって選びましょう。

内職の内容

現在の内職の仕事は、手工芸や衣類の修理などが中心です。

例えば、次のような仕事があります。

  • コサージュの工程
  • 革バッグ、革小物縫製
  • ビーズ等袋詰め、値札付等
  • ダンスドレス製作(裁断/縫製)
  • 和装のつくろい/縫製
  • 洋服のお直し
  • ろう付け

求職の条件として「手先が器用な方」や「目の良い器用な方」が多いのが特徴です。

また、「工業用ミシンがあること」「ペット不可」などの条件が付くこともあります。

内職の探し方

内職は「雇用」ではないため、ハローワークでは紹介してくれません。

また、アルバイトやパートの就職情報サイトでも、「内職」を検索するのは簡単ではありません。

おすすめしたい方法は、地方自治体による斡旋(あっせん)です。

内職が多い地域では、市区町村が内職を紹介していることが少なくありません。

例えば、東京都の台東区や荒川区、江東区などでは、区民に対して内職の斡旋をしています。

内職を希望する人と業者の間に、市区町村が入っていると、詐欺やトラブルになる可能性が減るというメリットもあります。

まず、地元の市区町村のホームページで内職の斡旋をしていないか探してみましょう。

なお、以前に比べて内職をする人も、内職を紹介する「委託者」も少なくなっています。すべての都道府県で内職が見つかるとは限りません。

次の11の県は、2018年現在で内職を含む家内労働者が人が3,000人を越えている県です。

これらの県は、比較的、内職が探しやすい県と思って良いでしょう。

家内労働者が3千人を超えている県

愛知県、東京都、静岡県、大阪府、埼玉県、岡山県、兵庫県、長野県、群馬県、京都府、滋賀県

内職のチェックポイント

内職で問題になりやすい点も挙げておきましょう。

まず、一般的に内職は単価が高くありません。

比較的簡単な「ビーズ袋詰め」などでは、1個の単価が「0.5円」からです。

ミシンを使う仕事でも、単価は「数百円~千円」ぐらいが多いようです。

自分の技量が上がって、数がこなせるか、質が高くならないと、収入に結びつきません。内職は、自分の「手」で稼ぐ仕事なのです。

逆に、内職の募集で「だれでも簡単に稼げる」と書いてあったら、詐欺と思って良いでしょう。

次に、「通い」の問題があります。

ある程度以上の専門的な仕事の場合、最初は事務所に通ってやり方を習うことがあります。

育児や介護などで自宅を離れられない事情があると、通いができなくて断念する場合があります。

そして、自動車の問題があります。

内職で扱う材料や製品は大きく重いものが少なくありません。材料の受け取りや、完成品の納品に自動車が必要な場合があります。

業者が運んでくれる場合や、宅配便を使ってくれる場合もありますが、仕事を始めるときは、自動車の必要性を確認しておきましょう。

内職は誰にでも勧められる働き方ではありません。しかし、「自分の手につけた職」で仕事をしたい人にはメリットがある働き方です。

和裁や洋裁を習ったけれど、仕事にできるかどうか不安というような人も、一度検討してみてはいかがでしょう。

[シニアガイド編集部]