中国に赴任しているサラリーマンの年金の二重払いが9月から解消

[2019/8/5 17:19]

中国在留のサラリーマンは、年金保険料を二重払いしている

現在、中国に在留している日本人は、永住者を除いても、約12万人に上ります。

そのうち、民間企業のサラリーマンは約7万人です。

このようにサラリーマンが、日本から中国に、会社の仕事で駐在すると、中国の雇用者向けの年金制度に加入する義務が生じます。

つまり、日本の年金制度と、中国の年金制度の両方に加入して、年金保険料を二重に払うことになります。

サラリーマンの年金保険料は、会社も負担しています。本人だけではなく、社員を赴任させている企業にとっても、大きな負担なのです。

困ったことに、年金を受けとるためには、一定の期間その国の年金に加入する必要があります。

例えば、中国の都市会社員向け年金制度では、最低15年間は加入する必要があります。

したがって、二重払いされた保険料のほとんどは、年金が貰える期間に届かず、全額が無駄になってしまいます。

もちろん、中国の会社から日本に駐在した場合も、同様の問題が発生します。

9月1日から二重払いが解消される

このような状態を解消するために、2019年5月9日に「日・中社会保障協定」が結ばれました。

この協定は、2019年9月1日から有効となります。

協定の内容は、「派遣期間が5年以内の一時派遣被用者は、原則として、派遣元国の年金制度にのみ加入する」というものです。

つまり、5年以内の赴任では、日本の年金制度だけ加入すれば良いことになるので、年金保険料の二重払いの問題が解消されます。

なお、派遣が5年以上になる場合は、最大で10年まで延長が可能です。

「適用証明書」の受付が始まる

この協定の実施に当たっての詳細は、日本年金機構のこちらのページに掲載されています。

ポイントは3つあります。

  • 中国の年金制度への加入が免除されるためには、日本年金機構が発行する「適用証明書」という書類が必要になる。
  • 協定発効前から中国に派遣されている人も対象になる。
  • 自営業は対象にならない。

「適用証明書」8月1日に受付を始まりました。9月1日以降に、「適用証明書」が順次発送されます。

自分が、会社から中国に赴任しているサラリーマンや、自社に中国に赴任している社員がいる場合は、次の情報公開に注意して「適用証明書」の申請に備えましょう。

なお、自営業の場合、中国の年金制度上は任意加入とされているので、自分の状況に応じて加入するかどうか選べば良いでしょう。

社会保障協定が結ばれているのは21カ国

2019年5月現在で、日本との社会保障協定は、中国を含めて21カ国と結ばれており、うち18カ国で発効しています。

こちらのページに一覧があります。

海外子会社や業務提携先などに駐在していて、年金を二重払いしている人は、自分も社会保障協定の対象になっていないか、念のためにチェックすることをおすすめします。

【追記】この記事は2019年8月5日に内容が更新されました。

[シニアガイド編集部]