山の遭難者の5割が「60歳以上」。死者/行方不明者では7割以上
遭難者数が過去最高を更新
警察庁が、2018年(平成30年)の山岳遭難について報告書を公開しました。
2018年の遭難者数は「3,129人」で、記録が残る1961年(昭和36年)以降で最大となりました。
そのうちの51%は「60歳以上」が占めています。
また、死者/行方不明者数は「342人」でした。
そのうちの72%を「60歳以上」が占めています。
今年も、高齢者の登山の危険性を警告する結果となっています。
「60代」と「70代」は注意が必要な年齢
もう少しくわしく、遭難者の年齢分布を見てみましょう。
遭難者は、「60代」と「70代」が突出して多く、この2つだけで40%以上を占めます。
さらに、死者/行方不明者の年齢分布を見ると、「70代」が一番多くなります。
こちらは、「60代」と「70代」を合わせると、60%以上になります。
「60代」と「70代」は、遭難しやすい年齢であり、死亡する確率が高い年齢なのです。
山岳による遭難は、自分や仲間が困るだけではなく、警察や消防をはじめとする地域の人々にも迷惑を掛けてしまいます。
次に紹介する、警察庁による「山岳遭難防止対策」を読んで、万全な準備をした上で、山を楽しんでください。
警察庁による「山岳遭難防止対策」
山岳遭難の多くは、天候に関する不適切な判断や、不十分な装備で体力的に無理な計画を立てるなど、知識・経験・体力の不足等が原因で発生していることから、遭難を防ぐためには、以下のような点に留意する必要がある。
的確な登山計画と万全な装備品等の準備
気象条件や体力、技術、経験、体調等に見合った山を選択し、余裕のある登山日程、携行する装備、食料等に配意し、安全な登山計画を立てる。
登山計画を立てるときは、滑落等の危険箇所や、トラブル発生時に途中から下山できるルート(エスケープルート)等を事前に把握する。
また、登山予定の山の気候に合った服装や登山靴、ヘルメット、雨具(レインウェア)、ツェルト(簡易テント)、地図、コンパス、行動食等登山に必要な装備品や、万一遭難した際に助けを呼ぶための連絡用通信機器(携帯電話、無線機、予備バッテリー等)を準備するなど、装備を万全に整える。
なお、単独登山は、トラブル発生時の対処がグループ登山に比べて困難になることが多いことを念頭に、信頼できるリーダーを中心とした複数人による登山に努める。
登山計画書の提出
登山計画書は、家族や職場等と共有しておくことにより、万一の場合の素早い捜索救助の手掛かりとなるほか、計画に不備がないか事前に確認するものであることを意識付け、作成した登山計画書は、一緒に登山する仲間と共有すると共に、家庭や職場、登山口の登山届ポストなどに提出しておく。
道迷い防止
地図の見方やコンパスの活用方法を習得し、登山には地図やコンパス等を携行して、常に自分の位置を確認するよう心掛ける。
滑落・転落防止
日頃から手入れされた登山靴やピッケル、アイゼン、ストック等の装備を登山の状況に応じて的確に使いこなすとともに、気を緩めることなく常に慎重な行動を心掛ける。