救急車の利用者の半分は入院の必要がない「軽症」
救急車の出動回数が過去最多
消防庁が、2018年の「救急出動件数」を公開しました。
これは、全国の消防組織による救急車の出動回数などをまとめたものです。
救急車の出動回数は過去最多となっており、救急車の使われ方に改善が必要なことが明らかとなっています。
1年に660万回も出動している
2018年の救急車による出動件数は660万5,166件、それによって運ばれた搬送人員は596万202人で、いずれも過去最多となりました。
救急出動件数は、増加の傾向が止まらず、20年前の1998年の1.78倍に増えています。
救急出動件数の増加に伴って、搬送人員も増え続けています。
呼ばれる理由は「急病」が6割
救急車の出動が要請された理由はさまざまです。
一番多いのは「急病(病気)」で全体の6割以上を占めています。
そして「一般負傷(ケガ)」「交通事故」などが続きます。
注目されるのが「転院搬送」です。これは、入院中の病院から別の病院に転院する際に救急車による搬送を行なうものです。
しかし、実際には救急車ではなく、通常の交通手段で十分な場合が多く、出動が増加する原因の一つとなっています。
呼んだ人の6割は「65歳以上」
救急車で搬送された人の年齢を見ると、その6割が「65歳以上」となっています。
そして、65歳以上の高齢者の割合は、年々増加しています。
入院の必要がない「軽症」で呼ぶ人が半分もいる
救急車で搬送された人の病状を見てみましょう。
一番多いのは、外来診療相当の「軽症」で、ほぼ半分を占めています。
つまり、救急車を呼んでいる人の半分は、入院が必要なく通院で十分な病状で呼ばれています。
自分や家族の症状が入院が必要ない「軽症」であると判断して、救急車を呼ぶ人が少なくなれば、それだけで救急車の出動件数は半分になります。
安易に救急車を使っていると、本当に必要とする人が困ってしまう
消防庁が公開している「救急車利用マニュアル」では、軽症で救急車を呼んだ例が紹介されています。
- 蚊に刺されてかゆい
- 海水浴に行って、日焼けした足がヒリヒリする
- 病院でもらった薬がなくなった
- 今日入院予定日だから、病院に行きたい
- 病院で長く待つのが面倒なので、救急車を呼んだ
誰かが安易に救急車を利用すると、その分だけ、本当に救急車を必要とする人が利用できなくなります。
救急車や救急医療は限りある資源です。いざというときの自分自身の安心のために、救急車を呼ぶ前に、救急車を呼ぶ緊急性があるかどうか考えてみましょう。
迷ったときは、「救急車利用マニュアル」や、東京消防庁が用意している「緊急受診ガイド」が参考になります。