助手席や後席に乗る高齢者に優しい装備が用意された「タント」

[2019/7/22 00:00]
ダイハツ「タント」 出典:ダイハツ工業

要支援レベルの人にも優しい自動車

高齢者と自動車というと、高齢者による運転事故問題が話題になりがちです。

しかし、2019年7月に発売された、ダイハツ工業の軽自動車「タント」では、少し違う方向の高齢者対策を取り入れています。

新しいタントでは、加齢とともに運動機能や認知機能が低下してきた「フレイル」状態の高齢者や、要支援者、軽介護度の人に向けた装備がオプションとして用意されました。

これまで、「福祉車両」と呼ばれる分野では、車イス対応を始めとする要介護者を対象にした設備が多かったのですが、タントは、その手前の段階の人を視野に入れているのです。

この記事では、タントに用意されたオプションから、高齢者に適した製品を紹介します。

握りやすい「ラクスマグリップ」

「ラクスマグリップ」は、助手席と、運転席と助手席のシートの背面にセットできるオプションです。

自動車を乗り降りする際に、しっかり掴めるので、体を安定させることができます。

また、乗車中も、カーブなどで体が不安定なときに握ることで、安心感が得られます。

工事費込みの価格は、助手席用が8,618円、運転席背面用が9,720円、助手席背面用が11,858円です。

左から助手席用、運転席背面用、助手席背面用 出典:ダイハツ工業

100kgまで耐える「ミラクルオートステップセット」

タントの最大の特徴は「ミラクルオープンドア」です。

これは、助手席側の前後のドアの間にピラー(柱)がなく、2つのドアを開けることで、広い開口部ができます。

出典:ダイハツ工業

「ミラクルオートステップセット」は、ミラクルオープンドアの幅いっぱいに用意された踏み板です。

ミラクルオートステップの幅は1m17cmもあり、奥行きも17cmあります。

助手席や後席への乗り降りの際に、ドアの開閉に合わせて、自動で展開と格納をします。

ミラクルオートステップは、自動車の床よりも低い位置に出てくるので、乗り込む時の重心が低く、安定した姿勢になります

工事費込みの価格は、標準車用で233,388円です。

ステップがある右の写真は、重心の位置が低い 出典:ダイハツ工業

オプションを活かすために本体と一体で開発

高齢者向けを想定した自動車というと、車イスに乗ったままで乗車できるような専用度の高い福祉車両が中心になっています。

今回、タントに用意されたオプションは、低価格から用意されており、あとから取り付けをすることもできます。

これらのオプションは、あらかじめ取り付けられることを想定して、自動車本体にも補強などが必要です。つまり、思いつきで装着できるものではなく、本体と一体でないと開発できないものなのです。

高齢者を乗せる機会が多い人が自動車を購入する際は、そういうオプションが用意されているかどうかもチェックしましょう。

高齢者が前提なら専用車両の検討も

なお、最初から高齢者を乗せることを前提にしている人には、専用の福祉車両「タントウェルカムターンシート」も用意されています。

これは、標準のタントをベースにして、助手席を手動で30度回転するようにしたものです。

「タントウェルカムターンシート」には、トランクには、折り畳んだ車イスを吊り上げるための電動クレーンも用意されています。

一応、自力で歩行はできるが、ときどき車イスを使うような段階の人に向いた車両と言えるでしょう。

「タントウェルカムターンシート」の価格は139万円からです。

出典:ダイハツ工業
[シニアガイド編集部]