新型コロナ対策で買った「マスク」と「消毒液」は、「医療費控除」の対象になりますか
新型コロナの対策は「医療費控除」の対象になるか
年が改まり、所得税の還付申告や確定申告の準備を始める季節になりました。
この記事では、還付申告で多い「医療費控除」について、新型コロナウイルス対策で使ったお金が対象になるのかどうかを紹介します。
2020年の春ごろは、「マスク」が足りなくなったために、50個入りの箱を、何千円も出して購入した人もいるでしょう。
もし、これが「医療費控除」の対象になるのであれば、税金の一部が戻ってくる可能性があります。そう思えば、なかなか興味深い話題ではないでしょう。
「マスク」や「消毒液」は対象にならない
2020年は新型コロナウイルスが大流行しました。
それに伴って、予防のための「マスク」や「消毒液」、そして「PCR検査」などにお金を使った人も多いことでしょう。
これらに使ったお金が「医療費控除」の対象になれば、その分、所得税が安くなって、税金が戻ってきます。
ちょっと考えると、「マスク」などは、病気になることを予防するために使ったお金ですから、「医療費」のような気がします。
しかし、実は「医療費控除」で「医療費」と認められるのは、次の2つに限られています。
- 医師等による診療や治療のために支払った費用
- 治療や療養に必要な医薬品の購入費用
つまり、「治療」ではなく、「予防」のために使った費用は、「医療費控除」の対象にならないのです。
残念ながら、「マスク」や「消毒液」に使ったお金は、いくら高額でも、「医療費控除」の対象になりません。
「PCR検査」は誰の判断によるかで決まる
では、新型コロナウイルスに感染したかどうかを確認するために行なう「PCR検査」は、医療費控除の対象になるのでしょうか。
実は、「PCR検査」は医療費控除の対象になる場合と、ならない場合があります。
- PCR検査を受けた理由が、「医師等の判断による」場合は、医療費控除の対象になる
- PCR検査を受けた理由が、感染していないことを明らかにするために「自分の判断で行なった」場合は、医療費控除の対象にならない
つまり、PCR検査を受けると判断したのが、医師なのか、自分なのかによって、「医療費控除」の対象になるかどうかが決まるのです。
なかなか難しい判断ですが、「医療費控除」が対象としているのが「治療」に限られていることを思えば納得できるでしょう。
医療費が10万円近くあったら「医療費控除」の確認を
「医療費控除」は、1年間に使用した医療費が大きな金額である場合に、その分を所得税で補うための制度です。
「医療費」の合計が「10万円」または、所得額が200万円未満の場合は「所得額の5%」を超えた場合に対象となります。
例えば、所得額が150万円の場合は、医療費が7万5千円以上であれば「医療費控除」の対象になります。
1年間に家族が利用した医療費の合計が、上記の水準を超えた場合は申告をすることで、所得税が下がります。
家族の医療費は合計できるので、複数の人が入院した場合などは、「医療費控除」の対象になりやすくなっています。
また、還付申告は、確定申告期間とは関係なく、翌年の1月1日から5年間行なうことができます。
つまり、2020年分については、2021年1月1日から、すでに受付が始まっています。
2020年に、家族の誰かが大きなケガや病気などを経験した人は、これを機会に、医療費の合計金額を計算してみましょう。