今日から始まる「まん延防止等重点措置」は、「緊急事態宣言」と何が違うのか
初めての「まん延防止等重点措置」
2021年4月5日から、大阪府、兵庫県、宮城県の3県で、「まん延防止等重点措置」が始まります。
期間は5月5日までの1カ月間です。
「まん延防止等重点措置」は、新型コロナウイルスの流行を抑えるために、政府によって執られる手段ですが、初めて行なわれるために、具体的に何が行なわれるのかがわかりにくい状態です。
ここでは、「緊急事態宣言」と比較しながら、「まん延防止等重点措置」の内容を紹介します。
なお、「まん延防止等重点措置」の「まん延(蔓延)」とは、蔓草(つるくさ)が伸びるように、病気などが広まるこという意味です。
「蔓」が当用漢字ではないために、ひらがなで書かれてしまい、意味がわかりにくい表記になっています。
「緊急事態宣言」の一つ手前の制度
「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」は、いずれも政府が地域を指定して行なわれます。
一番大きな違いは、対象とする「ステージ」です。
「緊急事態宣言」は、政府が決めた基準の「ステージ4」を対象にして、「ステージ3」以下に戻すことを目的としています。
一方、「まん延防止等重点措置」は、「ステージ3」を対象にして、「ステージ2」以下に戻すことが目的です。
つまり、「まん延防止等重点措置」は、「緊急事態宣言」を出さないようにするための、一つ手前の制度と思えば良いでしょう。
重点地域は県が指定できる
「まん延防止等重点措置」は、「緊急事態宣言」の手前の段階なので、いくつかの制限があります。
例えば、「まん延防止等重点措置」は、県内全域が対象ではなく、県が指定した地域だけで行なわれます。
例えば、兵庫県は、「神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市」を重点実施区域としています。
そのため、他の地域よりも飲食店の営業時間が20時までと1時間短くなっています。
同様に、大阪府では「大阪市」、宮城県では「仙台市」が重点措置の対象地域となっています。
なお、「まん延防止等重点措置」では、営業時間の「短縮」は指示/命令できますが、「休業」は命令できません。
営業時間の時短要請以外では、「外出の自粛」「イベントの開催制限」「出勤の抑制」などの対策が行なわれます。
だいたい、緊急事態宣言と同じことが行なわれるが、少し基準がゆるいと考えれば良いでしょう。
どこまで有効なのかは運用による
「まん延防止等重点措置」は、緊急事態宣言が出ていないくても、飲食店などへの時短要請や命令など集中的な対策をするための手段です。
状況が「ステージ3」まで悪化したときに、「ステージ4」に行かないように踏みとどまるための手段と思えば良いでしょう。
ただし、「まん延防止等重点措置」が、どれぐらい有効なのかは、指定を受けた都道府県が、どのような対策を行なうかにかかってきます。
例えば兵庫県では「重点措置区域への店舗見回り強化」として、1万6千件の飲食店を対象にしたパトロールを予定しています。
要請や命令が守られているかどうかを確認して、必要であれば改善の要請を行ないます。
このような工夫が各県に求められるでしょう。
新型コロナウイルスとの戦いは長期化しており、「緊急事態宣言」が出ていても、なかなか新規陽性者数が減らないという「自粛疲れ」の状況になっています。
このような状況において「まん延防止等重点措置」がどれぐらい有効なのか、やってみなければ分かりません。
各県の首長には、改めて新型コロナウイルスと戦う気力を引き出すような、分かりやすく力強いメッセージの発信が期待されます。