高齢者世帯の貯金額は「2,324万円」。ただし、「300万円未満」も1割を超える
高齢者はどれぐらい貯金を持っているか
以前、金融庁の報告書で「老後の生活資金は2,000万円必要」という話がありました。
では、実際には、65歳以上の高齢者は、どれぐらいの貯金を持っているのでしょうか。
総務省統計局による調査の結果を紹介します。
平均は高いが、貯金が少ない人も多い
この調査では、家族が2人以上いて、世帯主が65歳以上の世帯を対象にしています。
これらの世帯の貯金の平均値は「2,324万円」でした。
こんなに平均値が高いのは、「貯金が2,500万円以上ある」世帯が全体の32.5%もいるからです。
つまり、貯金をたくさん持っている一部の人が、平均を引き上げているのです。
貯金がある世帯を、少ない順に並べて、その真ん中を示す「中央値」は、「1,555万円」まで下がります。
言い換えれば、世帯主が65歳以上の世帯の半分は、貯金が1,555万円より少ないのです。
さらに、「貯金が300万円未満」しかない世帯も、全体の15.4%あります。
65歳以上の世帯の貯金の金額は、それぞれの世帯による差が大きく、平均値だけでは実態が伝わらないのです。
銀行預金が大半を占める
つぎは、対象をもっと絞って、高齢者の貯金の実態を見てみましょう。
今度は「家族が2人以上で、世帯主が65歳以上で無職」の世帯を対象にします。
つまり、年金で生活している高齢者世帯が中心になります。
この場合の貯金の平均額は「2,292万円」でした。
2千万円ぐらいが平均なのは変わりません。
貯金を種類別に見てみましょう。
- 定期預金 920万円
- 普通預金 618万円
- 生命保険 397万円
- 有価証券 348万円
- 金融機関外 9万円
これを見ると、貯金のほとんどは、定期または普通預金として銀行に預けられていることが分かります。
貯蓄性の高い「生命保険」や、株式などの「有価証券」は300万円台に留まっています。
高齢者の金融資産は、大半が貯金で、株式などは脇役的存在であることが分かります。
また、現在の低金利下では、定期預金と普通預金の金利の差はほとんどありません。
しかし、高齢者の貯金は定期預金として預けられている金額が多いことが分かります。
お金を増やすために定期預金にしているのではなく、取り崩してしまわないために習慣的に定期預金にしている人が多いのでしょう。
自分の生活に合わせて老後資金の準備を
今回の調査で、高齢者の貯金額の平均は、だいたい2,000万円であることが分かりました。
しかし、世帯による差は大きく、300万円未満の世帯も10%以上あります。
毎月の生活費が、それぞれの家庭で異なるように、貯金の大きさも世帯によって異なるのです。
つまり、「老後にはxx万円が必要」という絶対的な基準などありえません。
それぞれの生活と人生に応じて、老後の準備を進めましょう。