実はアフリカ在住が多い「ロマンス詐欺」の詐欺師。英語圏国民を偽装

[2021/5/30 00:00]

「ロマンス詐欺」についての調査レポート

国際調査会社のJapan PIが「数字で見るロマンス詐欺の実態」というレポートを公開しています。

まず、「ロマンス詐欺」とは、どんな詐欺なのでしょうか。

「ロマンス詐欺」または「国際ロマンス詐欺」とは、出会い系サイトなどで知り合った相手に対して、恋人になったふりをしたり、偽の結婚の約束をすることで相手の好意につけ込み、不当に金銭を送金させる振り込め詐欺の一種です。

これだけでは分かりにくいので、国民生活センターに寄せられた、実際の手口を見てみましょう。


外国人との交流サイトで知り合ったソマリアで従軍しているという女性と仲良くなり、SNSでやりとりをしていたところ、日本に送る荷物があるので代わりに受け取ってほしいといわれた。

承諾し、個人情報を教えたところ、配送事業者から受取人払いで50万円かかるとの連絡があり、数日以内に国際送金で支払うようにとせかされている。

荷物を受け取るのにお金がかかると思っておらず、荷物の中身についても聞いていない。おかしいと思う。

この場合は、着払いの荷物を受け取ることで、50万円を騙し取られるところだったのです。

なお、騙される側の人は、男性の場合も女性の場合もあります。

ロマンス詐欺師が最も多い国

ここからは、Japan PIの許可を得て、2つの項目を紹介します。

最初は「ロマンス詐欺師が最も多い国」です。

2017年にアメリカで発表された研究「The Geography of Online Dating Fraud」では、公的なオンラインデートの詐欺師リスト「ScamDigger」のデーターを用いて、詐欺師の地理的特徴についての調査・報告を行なっています。

この研究によれば、国際出会い系サイトのプロフィールに書かれている移住国を基に、ロマンス詐欺師が最も多く見つかった国は14カ国ありました。

上位5つは、次の通りです。

  • 1位:ナイジェリア
  • 2位:ガーナ
  • 3位:マレーシア
  • 4位:南アフリカ
  • 5位:イギリス

地域別の割合として最も多いのはアフリカ、次いで東南アジアとなっています。

実際には、アフリカやアジアに住む詐欺師が、アメリカやイギリスの住民になりすましているケースが圧倒的に多いのです。

また、記事の最初に挙げた実例のように、「従軍して、その国に派兵されている」「取材のため移住した」などと偽って、現住所はアフリカやアジアだが、英語圏の国民であると名乗ることもあります。

出典:(c)2021 株式会社JapanPI / Japan PI Inc.

ロマンス詐欺についての記事で登場数の多い国ランキング

次に、「ロマンス詐欺についての記事で登場数の多い国」を紹介します。

2019年に発表された調査では、次のような方法で、国名を調べています。

アラビア語、日本語、中国語、英語、フランス語で書かれたロマンス詐欺に関する記事から、その中で登場する国の名前の回数を集計します。

1位の「アメリカ」を見ると、母国語である英語記事を筆頭に、その他の言語の記事でもその国名が多く登場していることが分かります。

つまり、アメリカ在住を名乗る詐欺が多く、被害に遭いやすい国の言語で、その情報が共有されているのです。

「イギリス」や「カナダ」の国名が、中国語の記事で登場することが多いのも、同じ理由でしょう。

つまり、「ロマンス詐欺」の被害に遭っているのは、「日本語」や「中国語」を母国語とする人たちなのです。

出典:(c)2021 株式会社JapanPI / Japan PI Inc.

「荷物を受け取らない」「お金を振り込まない」

2つのレポートの結果を重ね合わせて見ると、ロマンス詐欺の次のような構図が見えてきます。

  • 詐欺師は、実際にはアフリカやアジアにいますが、アメリカ、イギリス、カナダなど英語圏の国民であると偽ります。
  • 彼らが狙っている標的は、外国へのあこがれを持っている日本や中国語圏の住民です。

「国際ロマンス詐欺」の被害を避けるためには、「インターネットで知り合いになった面識のない海外の人と安易に荷物を受け取る約束をしない。また、手数料などを要求されても振り込まない」ことが大切です。

自分が周囲の人が巻き込まれていると思われる場合は、警察や国民生活センターの窓口に相談してください。

[シニアガイド編集部]