ネットで知り合った外国人の異性が「荷物を受け取って欲しい」と言ったら「国際ロマンス詐欺」を疑おう
荷物を受け取るよう頼まれたら「50万円かかる」と言われた
国民生活センターが、インターネットで知り合った外国人と親しく連絡を取り合ううちに、送金を迫られる「国際ロマンス詐欺」について警告しています。
インターネットの普及によって、海外の人と交流することは以前よりもずっと簡単になりました。
しかし、インターネットにいる人すべてが、善意で行動しているわけではありません。
例えば、50代の男性からは、次のような相談が寄せられています。
外国人との交流サイトで知り合ったソマリアで従軍しているという女性と仲良くなり、SNSでやりとりをしていたところ、日本に送る荷物があるので代わりに受け取ってほしいといわれた。
承諾し、個人情報を教えたところ、配送事業者から受取人払いで50万円かかるとの連絡があり、数日以内に国際送金で支払うようにとせかされている。
荷物を受け取るのにお金がかかると思っておらず、荷物の中身についても聞いていない。おかしいと思う。
この相談の内容は、着払い荷物を送ることで、金銭を騙し取るという典型的な詐欺です。
もちろん、荷物の内容は、その金額に値するものではないでしょう。
このような詐欺を「国際ロマンス詐欺」と言います。
「国際ロマンス詐欺」は、内容を変えて何度も発生しており、外務省や日本貿易振興機構(ジェトロ)なども警告を発しています。
本物のパスポートを送ってくる人はいない
もう一つ例をみてみましょう。
これは女性が騙された相談例です。
シリアで活動しているオーストラリア人ジャーナリストと名乗る人物とマッチングアプリで知り合い、数週間通話アプリでやりとりや会話をした。
シリアでの仕事の契約が終了し帰国する際に日本に来ることになり、荷物を受け取ってほしいと言われた。荷物の発送はイギリスの医師が行なうというので、疑問を持ったが、相手と医師のパスポートが送られてきたので受取りを了承した。
ところが、配送途中にトラブルがあり、タイの税関で差し止められたと連絡があったので、手数料として約200万円を振り込んだ。
荷物が大金のため、日本に配送してもらうには、さらにペナルティーとして約400万円の支払いが必要であり、数日以内に振り込むよう迫られている。(40代女性)
送られてきたパスポートは、たぶん画像データでしょう。
しかし、ネット上には、パスポートの画像データなどいくらでもあります。
それだけで信用してはいけません。
また、「欧米系の国籍を名乗る異性」「ジャーナリスト」「軍人」などのプロフィール(履歴)は、「国際ロマンス詐欺」の典型的な手口です。
会話などで、そういうキーワードが出てきたら、むしろ警戒してください。
財産を譲る代わりに1,800ドルを請求
そして、経験豊かな60代であっても、詐欺のターゲットになります。
インターネットを通じて知り合った海外の女性とやりとりしていたところ、後日、アフリカの運送会社より、当該女性から慈善事業の一環として財産の一部を譲渡するので金融機関のキャッシュカードを受け取ってほしいという内容の郵便物を預かっているとメールが届いた。
高額だったので断ったが、執拗に連絡があり受け取ることになった。その後、金融機関から、海外輸送手数料として約400ドルに加え、通関証明手数料1,400ドルを支払うように言われている。
これらの手数料等を払えば直ちにキャッシュカードを発送するとのことだが、手数料の金額は妥当なものなのか。(60代男性)
これは財産を譲渡するという大掛かりな話になっています。
請求されているのは、合計1,800ドルですから、日本円にすると約20万円になります。
そもそも、本当に財産の一部を譲渡するのであれば、キャッシュカードという手段は取らないはずですし、相談者もうすうす怪しいとは気がついています。
しかし、「ネットという新しい交流手段のおかげで、外国人の友人ができた」という高揚感によって、普段であれば警戒するような詐欺に、簡単に引っかかってしまうのです。
また、騙す方も、インターネットを通じての出会いで面識がないにもかかわらず、早い段階から甘い言葉を使うなどして友情や恋愛感情を抱かせるようなやり取りをします。
また、架空の写真やプロフィール(履歴)を用意して、こちらの思い入れを誘います。
SNSを始めとするネット上でのお付き合いは、比較的少ない材料でも友情や愛情が発生しやすく、注意を必要とするのです。
「荷物の受け取り」と「手数料の振り込み」は断る
国民生活センターでは、「国際ロマンス詐欺」について、次の4つをアドバイスしています。
- インターネットで知り合いになった面識のない海外の人と安易に荷物を受け取る約束をしない
- 手数料などを要求されても支払わない
- 周囲の人が巻き込まれていると思われる場合には消費生活センターへの相談を促す
- 不安に思ったら、送金等をする前に、すぐに最寄りの消費生活センター等に相談する
もよりの消費生活センターの連絡先は「消費者ホットライン」(電話番号:188)で案内されます。
「国際ロマンス詐欺」は被害に遭ってしまうと、お金を取り返すことが難しく、ほぼ戻ってきません。
また、信頼していた人から裏切られることによる精神的負担も大きいため、未然に防ぐことが重要です
海外の人と交流することは楽しいことですが、「荷物を受け取ってほしい」とか「手数料を振り込んでほしい」と言われたら、絶対に断ってください。
また、「親族が病気で緊急に手術費用が必要」「日本へ渡航したいが、ビザ取得のためには高額の費用が必要」などは、典型的な詐欺の手口です。
相手が、そういうことを言い出したら、お付き合いから身を引きましょう。