酸素吸入中にタバコを吸うと、火事になって死んでしまいます
「在宅酸素療法」の事故を警告
厚労省が「在宅酸素療法」の火災事故を警告しています。
酸素吸入中に、タバコを吸って火事になり、死亡してしまう事故が絶えないのです。
「在宅酸素療法」は、慢性呼吸不全や慢性心不全などの患者が、自宅で酸素を吸入しながら生活する治療法です。
酸素の供給は、自宅では「酸素濃縮装置」、外出時には「携帯用酸素ボンベ」を使用するのが一般的です。
「在宅酸素療法」により、病院外でも酸素吸入が可能になり、自宅での生活を可能になりました。
しかし、それが家庭での火事につながっているのです。
喫煙による死亡事故が多い
「在宅酸素療法」による事故は多く、2003年以降だけで「88件」の事故が起きています。
しかも、そのうちの「82件」が死亡事故でした。
事故原因では「喫煙」が一番多く、4割を占めています。
つまり、酸素吸入中にタバコを吸ってしまい、死んでしまう人がとても多いのです。
2021年2月にも、鹿児島県の80代男性が、酸素吸入中の「喫煙」が原因で死亡しています。
そして、ストーブ、線香、台所の火、ろうそく等を含む「その他」と「漏電」が続きます。
なお、酸素濃縮装置、そのものが火災原因となったことはありません。
口が使えるのでタバコを吸ってしまう
家庭で酸素を吸入するときは、一般には「鼻カニューラ」と呼ばれる器具を使います。
これは鼻の穴に、酸素が入るようにしたチューブと思えば良いでしょう。
「鼻カニューラ」は、口を使わないので、会話や食事もできます。
つまり、やろうと思えば、タバコも吸うこともできるのです。
そして、カニューラを通っている酸素は、燃焼を助ける性質が強い気体で、火を近づけると大変危険です。
つまり、酸素吸入中に、火が着いたタバコを咥えると、鼻カニューラや衣服に引火してしまうのです。
自分も周りの人もタバコを吸わない
厚労省は、「在宅酸素療法」にあたって、次の3点を注意しています。
- 酸素吸入中は、患者はもちろん、その周りの人も、絶対にタバコを吸わない
- 酸素濃縮装置の使用中は、装置の周囲2m以内には、火気を置かない
- 酸素濃縮装置は、医師の指示を守って正しく使用する
「在宅酸素療法」は、安全で利点の多い優れた療法です。
また、酸素濃縮装置も、正しく使えば安全な医療機器です。
ともかく「火を近づけない」ことを守って、気をつけて利用してください。