2千人を超える新型コロナ患者調査で分かった、重症になりやすい人の特徴
国の研究機関による大規模調査
国立研究開発法人 国立国際医療研究センターが、新型コロナウイルス感染症で入院した患者に対する分析結果の中間報告を公開しています。
国立国際医療研究センターは、新型コロナウイルス感染症の入院患者のデータベース化を行なう「レジストリ研究」を行なっています。
今回公開されたのは、2020年3月から7月7日までに登録されたデータを分析したもので、227施設の2,638人の患者が対象となっています。
この人数は、新型コロナウイルスの検査で陽性となった人の12.3%にあたります。
つまり、あくまでも新型コロナウイルス患者の、ごく一部が対象であり、分析も中間報告の段階です。
それでも、日本で行なわれている国のレベルの分析としては、初めてのものであり、日本人特有の特徴も見いだされています。
この記事では、感染した場合に重症化しやすい人の特徴を中心に紹介します。
重症化する患者は4割
最初に入院時の状態を見てみましょう。
入院の時点で、一番多いのは、軽症で「酸素吸入も不要な状態」の人で、全体の61.8%でした。
「酸素吸入が必要な状態」は29.7%、重症で「気管挿管が必要な状態」が8.5%です。
つまり、入院患者の6割は軽症で、4割が重症という割合です。
また、入院時に症状が重いと、「気管挿管が必要な状態」まで重症化しやすいことが分かります。
「高齢」「男性」「喫煙歴あり」は重症化しやすい
では、重症になりやすい患者の特徴はなんでしょう。
症状の重さごとに年齢の分布をグラフ化しています。
患者全体では、年代の差はあまりありません。
しかし、「酸素吸入が必要な状態」や「気管挿管が必要な状態」では、60代以上の割合が増えます。
つまり、60代以上の「高齢者」は、症状が重くなりやすいと言えます。
同じように、症状ごとの分布を見ると、「男性」と「喫煙歴あり」の患者は重症化しやすいことが分かりました。
例えば、気管挿管が必要になった223人のうち、176人は「男性」で、98人は「喫煙歴あり」でした。
「高齢」「男性」「喫煙歴あり」の人が新型コロナウイルスに感染すると、重症になりやすいのです。
持病を持っていると重症化しやすい
持病を持っている人が新型コロナウイルスに感染すると、重症化しやすいと言われています。
今回の調査でも、「酸素吸入」や「気管挿管」が必要な重症患者には、持病を持っている割合が高いことが分かりました。
下の表にある持病を持っている人が感染すると、重症になりやすいことを自覚しておきましょう。
重症化すると死亡率が4倍になる
最後に、病院から退院する際の状態を見てみましょう。
入院した患者のうち、死亡して退院する「死亡率」は「7.5%」でした。
ただし、「気管挿管」が必要な重症患者の場合、「死亡率」は33.8%に跳ね上がります。
新型コロナウイルス感染症は、重症化すると、4倍以上に死亡率が上がるのです。
それだけに、「高齢」「男性」「喫煙歴あり」「持病持ち」など、重症になりやすい人は、新型コロナウイルスに感染しないことが大切です。
「手洗い」「マスク」「三密を避ける」など、基本的な予防対策をきちんと守って、感染を防ぎましょう。