登場したばかりの「抗体カクテル療法」、95%の患者の症状が改善
95%の人の症状が改善
東京都が行なった新型コロナウイルス感染症に対する「抗体カクテル療法」により、症状が改善した人が95%に上ることが分かりました。
「抗体カクテル療法」は、医療機関で点滴を1回受けるだけなので、自宅療養や宿泊療養をしている人にも適しています。
まだ、始まったばかりで症例が少ない「抗体カクテル療法」ですが、新型コロナウイルスに感染してしまったときのために、覚えておきたい治療法です。
420例中400例で「軽快」
最初に、「95%」という改善率の中身を見てみましょう。
9月3日の時点で、都内で「抗体カクテル療法」を受けた報告は1,048例でした。
そのうち、2週間以上を経過して、症状が安定している420例を対象に検討しています。
420例のうち、症状が改善された「軽快」は400例でした。
「軽快」の率は95.2%に上ります。
症状が改善されなかった「非改善」は19例で4.5%にあたります。
また、「死亡」も1例あり、全体の0.2%に相当します。
このデータを見ると、高い割合で症状が改善しており、期待が持てる治療法であることが分かります。
「抗体カクテル療法」の受け方
「抗体カクテル療法」は、誰でも受けられる治療ではありません。
次の3つの基準をもとにして、医師が判断します。
- 新型コロナウイルス感染症の重症化につながるリスク因子がある
- 酸素吸入を必要としない軽症である
- 新型コロナウイルス感染症の発症から7日以内である
「重症化につながるリスク要因」とは、糖尿病や高血圧、人工透析、BMI 30以上の肥満などの基礎疾患を指します。
治療を受けるためには、「かかりつけ医」や「都発熱相談センター」が窓口になります。
その上で、指定の医療機関で「抗体カクテル療法」を受けます。
治療を受けるまでの流れは、下の図を参考にしてください。
発症したら、すぐに検討を
「抗体カクテル療法」には、いくつかの特徴があります。
- 発症したら早く投与する
発症から4日以内に投与すると「軽快」になりやすい - 早く効く
投与から「軽快」まで、早ければ2日以内 - 年令が高いと効きにくくなる
「非改善」の9割以上が「50代以上」
「抗体カクテル療法」は、早く投与すれば、早く症状が改善されます。
新型コロナウイルスの感染が疑われたら、できるだけ早くかかりつけ医や都の窓口に連絡してください。
初めて登場した「軽症」用治療薬
最後に、「抗体カクテル療法」の内容について、簡単に紹介しておきましょう。
「抗体カクテル療法」は、「ロナプリーブ」という薬品を点滴で投与します。
点滴自体は30分ほどですが、事前の診察や、投与後の観察時間なども必要なので、一定の時間がかかります。
「ロナプリーブ」には、「カシリビマブ」と「イムデビマブ」という2種類の抗体が入っています。
この2つの抗体が、新型コロナウイルスに結合し、細胞とつながることを邪魔します。
ウイルスは、細胞につながらないと増えることができないので、症状が重くなるのを避けることができます。
「ロナプリーブ」は、2021年7月に特別承認を受けたばかりで、現時点では「軽症」に向いた、唯一の治療薬です。
ようやく登場した「軽症」用の治療薬ですから、使える可能性があるならば、積極的に利用を検討してください。