陽性になっても9%しか入院できない東京都。自宅療養で5人が死亡
増加が止まらない「新規陽性者」
東京都では、新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。
PCR検査で陽性となった「新規陽性者」の過去7日間の平均は、8月18日の時点で「4,631人/日」となり、ついに4,000人を超えました。
3週間連続して過去最多を更新しながら急増しており、制御不能な状況が続いています。
「入院できる人」は1割もいない
毎日、発生する新規陽性者は、どこかで療養しなければいけません。
いつもの状態であれば、病院に入院することが基本ですが、それができない状態になっています。
病院に受け入れられる人の割合は、8月18日時点で、10%を切り「9%」となりました。
つまり、新型コロナウイルスに感染したと判明しても、病院に入れる人は10人に1人もいないのです。
自宅療養者が増えていく
療養先を探す「新規陽性者」は、具体的には、どこに振り分けられているのでしょう。
一番多いのは「自宅療養」で、全体の半分を超える55%です。
次に多いのが、症状が進んでいるが入院先が決まらない「入院・療養等調整中」で31%です。
調整中の人は、入院先が決まるまでは自宅療養を続けることになります。
つまり、「新規陽性者」になっても、現実的には8割以上が自宅療養をすることになります。
病状が悪化しても入院できるとは限らない
8月16日の時点で「自宅療養者」は2万人を、「入院・療養等調整中」も1万人を超えました。
そのため、自宅療養中の人の体調を把握することが難しくなっています。
自宅療養中に、症状が悪化しても治療を受けられないことが増えているのです。
これは、きわめて深刻な事態と言えるでしょう。
その影響もあって、この1週間で、自宅療養中の死亡者が5人も確認されました。
年齢は30代1人、40代1人、50代2人、70代1人で、若い世代も含まれています。
このような状況なので、自宅療養中には、自分自身で病状を把握し、自分から行動する必要があるのです。
できれば、水分を補給するための経口補水液や、パルスオキシメーター(酸素濃度計)などを準備しておきましょう。
「自宅療養」については、東京都の「自宅療養中の注意事項・相談窓口など」というWebページが役に立ちます。余裕のあるうちに目を通してください。
少なくとも数週間は、この状態が続く
今のように、新型コロナウイルスの陽性者になっても、入院できないという状況はいつまで続くのでしょうか。
確実に言えるのは、毎日発生している「新規陽性者」が減らない限り、状況は変わらないということです。
多くの人が、外出や三密を避けるなど、感染対策に気をつけるようになれば、「新規陽性者」が減ります。
しかし、今から始めても、結果が出るまでに数週間はかかります。
6月12日に設定されている、緊急事態宣言の期限が、一つの目安となるでしょう。
今できることは、「新規陽性者」になっても入院が難しいことを前提として、できるだけ、「新型コロナウイルス」に感染しないように努めることです。
マスクの着用や、「三密」を避ける、不要不急の外出をしないなど、基本的な感染予防対策を守ってください。
そして、ワクチンの接種が可能であれば、接種することを検討してください。