陽性になっても9%しか入院できない東京都。自宅療養で5人が死亡

[2021/8/21 15:45]

増加が止まらない「新規陽性者」

東京都では、新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。

PCR検査で陽性となった「新規陽性者」の過去7日間の平均は、8月18日の時点で「4,631人/日」となり、ついに4,000人を超えました。

3週間連続して過去最多を更新しながら急増しており、制御不能な状況が続いています。

出典:東京都

「入院できる人」は1割もいない

毎日、発生する新規陽性者は、どこかで療養しなければいけません。

いつもの状態であれば、病院に入院することが基本ですが、それができない状態になっています。

病院に受け入れられる人の割合は、8月18日時点で、10%を切り「9%」となりました。

つまり、新型コロナウイルスに感染したと判明しても、病院に入れる人は10人に1人もいないのです。

自宅療養者が増えていく

療養先を探す「新規陽性者」は、具体的には、どこに振り分けられているのでしょう。

一番多いのは「自宅療養」で、全体の半分を超える55%です。

次に多いのが、症状が進んでいるが入院先が決まらない「入院・療養等調整中」で31%です。

調整中の人は、入院先が決まるまでは自宅療養を続けることになります。

つまり、「新規陽性者」になっても、現実的には8割以上が自宅療養をすることになります。

出典:東京都のデータをもとに編集部が作成

病状が悪化しても入院できるとは限らない

8月16日の時点で「自宅療養者」は2万人を、「入院・療養等調整中」も1万人を超えました。

そのため、自宅療養中の人の体調を把握することが難しくなっています。

自宅療養中に、症状が悪化しても治療を受けられないことが増えているのです。

これは、きわめて深刻な事態と言えるでしょう。

その影響もあって、この1週間で、自宅療養中の死亡者が5人も確認されました。

年齢は30代1人、40代1人、50代2人、70代1人で、若い世代も含まれています。

このような状況なので、自宅療養中には、自分自身で病状を把握し、自分から行動する必要があるのです。

できれば、水分を補給するための経口補水液や、パルスオキシメーター(酸素濃度計)などを準備しておきましょう。

「自宅療養」については、東京都の「自宅療養中の注意事項・相談窓口など」というWebページが役に立ちます。余裕のあるうちに目を通してください。

出典:東京都のデータをもとに編集部が作成

少なくとも数週間は、この状態が続く

今のように、新型コロナウイルスの陽性者になっても、入院できないという状況はいつまで続くのでしょうか。

確実に言えるのは、毎日発生している「新規陽性者」が減らない限り、状況は変わらないということです。

多くの人が、外出や三密を避けるなど、感染対策に気をつけるようになれば、「新規陽性者」が減ります。

しかし、今から始めても、結果が出るまでに数週間はかかります。

6月12日に設定されている、緊急事態宣言の期限が、一つの目安となるでしょう。

今できることは、「新規陽性者」になっても入院が難しいことを前提として、できるだけ、「新型コロナウイルス」に感染しないように努めることです。

マスクの着用や、「三密」を避ける、不要不急の外出をしないなど、基本的な感染予防対策を守ってください。

そして、ワクチンの接種が可能であれば、接種することを検討してください。

[シニアガイド編集部]