新型コロナのせいで、東京23区の単身者向け賃貸住宅が余っている
「供給過剰」と警告
不動産評価会社のタスが、「コロナ禍によって東京23区の単身者向け賃貸住宅が大幅な供給過剰となっている可能性が高い」と警告しています。
タスによれば、余っている単身者向け賃貸住宅は、約6万5千戸に及びます。
これだけ余っているとすれば、部屋探しをする単身者にはチャンスです。
一方、不動産投資を行なっている人には影響が大きいでしょう。
タスが、このような結論に至った経緯を追ってみましょう。
コロナ前は需要と供給が一致
タスによれば、23区の単身者向け賃貸住宅は、通常の状態では、年間に約4万2千戸が新築されています。
そして、東京都では、1年間に約4万人の単身者が増えていました。
つまり、単身者向け賃貸住宅は、需要と供給が、ほぼ一致していたのです。
6万5千戸が余っている
しかし、新型コロナによって、状況が変わりました。
東京都の人口が、大きく減少し始めたのです。
残念なことに、東京都の人口統計には、単身者だけの項目はありません。
タスでは、23区の各区の人口統計を集計し、それをもとに「単身者」の人口増減を見積もっています。
ここでは「単身者」の割合を「15歳~29歳の全部と、30~59歳の30%」と仮定して計算しています。
すると、2020年度に、23区の単身者は「約2万5千人」も減少していることが分かりました。
例年なら4万人増えるはずのところが、新型コロナによって2万5千人減りました。
つまり、「6万5千人分」の単身者向け住宅が余ってしまいました。
このため、タスでは「単身者向け賃貸住宅は大幅な供給過剰となっている可能性が高い」としているのです。
転居希望者には良いタイミング
東京都の人口増加は、「進学のために上京する10代後半」と「就職や転勤で上京する20代」によって支えられています。
つまり、ほとんどが「単身者」なのです。
そこに向けた賃貸住宅が余っているのであれば、上京や東京都内での住替えを考えている単身者には朗報でしょう。
通常よりも物件が探しやすくなり、良い条件で入居できる可能性があります。
一方、不動産投資をする立場からすれば、歓迎できない情報です。
「空室」や、契約期間中の「中途解約」が増えてしまうでしょう。
それでは、予定通りに資金が回収できません。
タスによる詳しいレポートは、こちらのページからダウンロードできます。
あなたが、単身者向け賃貸住宅を借りる立場でも、貸す立場でも目を通しておくことをおすすめします。