首都圏の住宅市場は、コロナ前の状況に戻るか
新型コロナで変わった「仕事」と「生活」
新型コロナウイルスの流行は、私達の仕事の仕方にも大きな影響を与えました。
そして、仕事の仕方が変わるということは、住まいの選択も変わるということです。
例えば、テレワークだけで働けるのであれば、これまでのように通勤に便利な、しかし狭いマンションを選ぶ人が減るでしょう。
そして、都心から離れた場所に、テレワーク専用のスペースを持つ広い家を買う人が増えるでしょう。
それだけに、新型コロナ後に、オフィスや働き方がどうなるかという、情報の収集は欠かせません。
そこで、この記事では、不動産評価Webサイト「TAS-MAP」を運営するタスが公開した、「コロナ後の首都圏住宅市場の見通し」というレポートの概要を紹介します。
不動産の専門家は、コロナ後の市場を、どのように考えているのでしょう。
オフィスへの回帰が始まっている
コロナ禍で世界的にテレワークが急拡大しました。
当初テレワークは新しい働き方として歓迎されており、一時は過半数の従業員がテレワーク継続を希望していました。
ところが、withコロナが長引くにつれて、従業員の意識が変わってきています。
これは日本だけでなく世界的な傾向で、特に20代、30代の若い世代にオフィス回帰が広がっています。
各国でテレワーク率は昨年から大きく減少しており、現在は15%前後で推移しています。
新型コロナウイルスの感染が収束すると、テレワーク率はさらに下落し10%以下まで減少する可能性が高いと考えられます。
テレワークを機に地方・郊外移住が進むとの期待がありましたが、データからはコロナ前の状態に9割がた戻りそうです。
コロナ前の状態の9割ぐらいに戻る
企業の動向と従業員の意向を総合すると、コロナ後の働き方は、「メインオフィス+(時々)テレワーク」もしくは「メインオフィス+(一部)サテライトオフィス+(時々)テレワーク」に集約されそうです。
なお、コワーキングスペースなどでの勤務もテレワークに含みます。
これに伴い住まい選びは、メインオフィスへの通勤を主に、若干サテライトオフィスへの出社頻度やテレワーク頻度を意識したものに変わっていくと考えられます。
コロナ後には9割がたコロナ前のトレンドに戻るのではないかと述べました。
企業動向からも同じ結論が導かれます。
ワクチン接種が進み、コロナ禍が収束するにつれて、控えられていた東京23区への人口移動も回復すると考えられます。
政策的に企業を分散させない限り、東京一極集中のトレンドは揺るがないということが、図らずもコロナ禍で証明されることになりました。
今後のリスク要因としては、さらに強力な変異種が発生するなどして、コロナ禍が数年継続することです。
そのような状況になれば、本格的に地方分散やテレワークの拡充に舵を切る企業が増加する可能性もあるでしょう。
変化を見極めて、冷静な決断を
以上が、タスによるレポートの概要です。
もっと詳しい情報が必要であれば、下のリンクから、公開されているPDFファイルを参照してください。
新型コロナは、私達の生活にも影響を及ぼしました。
そして、その渦中にいる今の私達には、その影響は、とてつもなく大きなものに見えます。
しかし、世の中は、いったん大きく変わっても、もとの状態に戻ろうとする力が働きます。
「住まいの選択」は、一生に何度もない大きな選択です。
短期的な変化や思い込みにとらわれず、長期的な視野で冷静に判断してください。