「コロナ特例貸付」を借りた人の9割は「月収20万円未満」。3割が「返済免除」を申請
生活苦になった人を対象とした「コロナ特例貸付」
新型コロナウイルス感染症の発生が明らかになった直後の2020年3月に、政府による生活資金の貸付が始まりました。
貸付の受付は、2020年7月までの予定でしたが、いくつかの変更が加えられながら2022年9月まで続けられました。
ここでは、この制度をまとめて「コロナ特例貸付」と呼びます。
「コロナ特例貸付」が始まったのは、初めて「緊急事態宣言」が宣言され、社会が混乱していた時期です。
そのため、「コロナ特例貸付」の窓口となり、実務を担当した全国の社会福祉協議会には、通常の業務を超える人々が押し寄せました。
実際に貸し付けを受けた人の数は、通常時の「82倍」に達しました。
「コロナ特例貸付」は、貸付を行なった側にとって大きな負担となったのです。
この記事では、「コロナ特例貸付」をどのような人が借りたのかを中心に紹介します。
「男性」が6割、「50代」がピーク
最初に、「コロナ特例貸付」の相談に来た人のプロフィールを見てみましょう。
男女比で見ると、6割が「男性」、4割が「女性」でした。
年齢で見ると、「50代」がピークで、「20代」から「60代」まで幅が広くなっています。
通常時と比べると、「男性」では「20代」から「40代」、「女性」は「20代」が増えています。
これらの年代が、新型コロナの直撃を受けたと見て良いでしょう。
「月収20万円未満」が9割
コロナ前と後の収入の変化を見てみましょう。
コロナ前では「20万円以上」の収入を得ていた人が、6割を超えています。
これが、貸付を受けた時点では、「20万円以上」の収入がある人は1割ちょっとまで下がっています。
つまり、貸付を受けた人の9割近くは、収入が「20万円未満」しかありません。
「月収が10万円以上減った」人が6割
もう少し分かりやすく、新型コロナの影響を見てみましょう。
コロナ前に比べて、「月収が10万円以上減った」人の割合は、全体の6割を超えました。
新型コロナが収入に与えた影響の大きさが分かります。
「別に借金がある」人は3割
なお、今回の「コロナ特例貸付」以外に借金があった人は3割しかいません。
つまり、これまで借金をすることなく手堅く生きてきた人が、新型コロナによって生活苦に追い込まれたことが分かります。
返済ができない人が「3割」を超える
「コロナ特例貸付」は借金ですから、返済の義務があります。
しかし、住民税が非課税になるほどの生活苦が続いている場合は、「免除」を申請することができます。
そして、借りた人の34%が、この免除申請を行なっています。
「コロナ特例貸付」を借りた人の3割以上は、苦しい状況から抜け出せていないことが分かります。
生活が苦しくなった人を支える制度の再検討を
「コロナ特例貸付」は、新型コロナという問題を受けて、急に始められた制度でした。
この制度によって生活を支えることができた人がいる一方で、さまざまな問題点がありました。
「コロナ特例貸付」を反省することが、社会的に大きな問題が発生したときに、生活が苦しくなった人を、どのように支えるのかということを考えるきっかけとなることを願います。
それは、「コロナ特例貸付」だけの問題ではなく、不正受給が大量に発生した「持続化給付金」なども含めて考えるべきことでしょう。