最新の「ねんきん定期便」を見たら、受け取る年金の金額が、去年より「46万円」も増えていた理由
たった1年で年金が
ある知人から「年に1回届く『ねんきん定期便』を久しぶりに見てみたら、やけに老齢年金の金額が増えていたんだけど、どうしてだろう」という相談を受けました。
この方の場合、2020年に届いた「ねんきん定期便」では、65歳からの支給額が「148万円」と書かれていました。
しかし、翌年に届いた「ねんきん定期便」では、これが「194万円」へと増えていたのです。
たった1年で、受け取れる年金が、「46万円」も増えたのです。
このような現象は、50歳以上で、過去に「厚生年金基金」に加入していた人にだけ起きています。
実は、受け取れる年金が増えたのではなく、これまで見えていなかった「厚生年金基金の分」が合計されるようになったのです。
受け取れる年金を増やしていた「厚生年金基金」
まず、「厚生年金基金」について紹介しましょう。
「厚生年金基金」は、大企業を中心に普及していた制度です。
簡単に言うと、国に代わって年金保険料を集めて運用する仕組みでした。
自分たちで運用することで利益を出し、「加算部分」というプラスアルファが支給したのです。
また、「報酬比例部分」についても、国に代わって運用することで増やしていました。
これを「代行部分」と言います。
実は、以前の「ねんきん定期便」は、厚生年金基金による「代行部分」については、掲載されていませんでした。
つまり、「ねんきん定期便」だけでは、実際に受け取る年金の総額はわからなかったのです。
2021年6月からルールが変わった
しかし、資金の運用が難しくなった厚生年金基金は、解散が進んでいます。
年金の情報についても、国と厚生年金基金の統合が進みました。
その効果で、2021年6月からは、50歳以上の人に向けて発送されている「ねんきん定期便」には、「代行部分」も含めて掲載されるようになったのです。
これでやっと、自分が受け取れる年金について、実際の金額に近い数字が分かるようになったのです。
2021年6月以前に届いた「ねんきん定期便」を見て、「自分の年金はこんなに少ないんだ」と思っていた人は、「代行部分」が含まれていなかった可能性があります。
ぜひ、最新の「ねんきん定期便」をチェックしてください。
厚生年金基金への加入期間によりますが、ひょっとしたら意外なほど金額が変わっている可能性があります。
「50歳以上」限定なので、ご注意を
なお、50歳未満の人に届く「ねんきん定期便」は、以前から厚生年金基金の分を含んだ金額になっています。
そのため、2021年6月以前でも以後でも、金額は大きく変わっていません。
今回のお話は、「50歳以上」の人に限ったことですので、ご注意ください。