電気料金が高騰したグランデータとの解約方法と値上がりした理由

[2023/3/18 00:00]

グランデータ社の電気料金が問題に

新電力会社のグランデータの電気料金が高いと問題になっています。

SNSをきっかけとして「高すぎるのではないか」と問題になり、ついには経産省の電力・ガス取引監視等委員会が、多く寄せられる問い合わせについてリリースを出す事態になっています。

本来、この委員会は小売電気事業者に対して指導を行なう地位にありますが、個別の相談は受けていません。

しかし、公的なリリースを出さざるをえないほど、問い合わせが殺到しているのでしょう。

いちばん簡単な解決策は乗り換え

グランデータは、自社では発電設備を持っていない、新電力会社の1つです。

賃貸住宅をターゲットにしており、電力契約数は「約42万件」(2022年9月末時点)としています。

賃貸住宅に入居する際に不動産会社や引越し業者が、電気/ガス/通信をまとめて紹介された人も多いでしょう。

さて、今回のリリースでは多かった質問として、「グランデータに電話がつながらない」と「他社に切り替えたい」が挙がっています。

これは、グランデータ自身のリリースにもありますが、単に解約をして乗り換えたいだけであれば、グランデータに連絡する必要はありません。

電話がつながらずに、イライラするぐらいであれば、とりあえず他社に乗り換えてしまうことをおすすめします。

例えば、東京都在住で「東京電力エナジーパートナー」に乗り換える場合は、「お客様番号」および「供給地点特定番号」があれば、申込みができます。

この2つのデータはグランデータのマイページで確認できます。

マイページが見えにくい場合は、メールでの問い合わせにも対応しています。

そして、東京電力エナジーパートナーの申込みが終ると、「切替日」が通知されるので、それをグランデータの専用フォームに書き込めば終了です。

東京電力エナジーパートナー以外であれば、「切替日」の連絡も必要ありません。

市場と連動する仕組みが高騰を招いた

さて、ここからは、どうしてグランデータの電気料金が高くなったのか、そしてそれからどんな教訓が得られるのかを見ていきましょう。

グランデータの電気料金がずっと高かったわけではありません。

きっかけはロシアによるウクライナ侵攻でした。

これを受けて、グランデータは、電気料金の計算方法を変え、3月31日付けで約款(やっかん)を変更しました。

  • 燃料費調整単価の上限を廃止
  • 燃料費調整額の追加調整を追加

「燃料費調整単価」というのは、他の電気会社でも組み込まれているもので、原油などの燃料の価格によって、毎月計算されているものです。

それをこれまでは、上限を設けて、他社よりも電気料金を抑えるようにしていたのですが、その上限を撤廃したのです。

そして「燃料費調整単価」は、ものすごい勢いで上昇しました。

また、グランデータは市場から電気を買っていますが、仕入れ価格が上がったら、それが電気料金に反映されるようになりました。

図で見ると、下のようになります。

出典:グランデータ

では、この「追加調整単価」を作ったときに、グランデータでは、どれぐらいの仕入れ価格を想定していたのでしょうか。

グランデータの試算では、仕入れ価格が「5円」であれば、東京電力の「従量電灯B」プランよりも500円安くなるとしています。

仕入れ価格が5円の場合

出典:グランデータ

そして、仕入れ価格が「14円」であれば、500円高くなるとしています。

つまり、5円~14円の範囲で考えていたわけです。

仕入れ価格が14円の場合

出典:グランデータ

ところが、そんなものでは済みませんでした。

下は東京地区の仕入れ価格をグラフにしたものですが、安いときでも20円以上しています。

グラフを見やすくするために100円以上のデータは切ってありますが、ピーク時には「200円」まで行きました。

出典:JEPXのデータをもとに編集部が作成

これが、ほぼそのまま、電気料金に反映されます。

「14円」でも東京電力より高くなるのに、「20円」や「30円」になったのですから電気料金は跳ね上がりました。

というわけで、グランデータの電気料金は、請求された人が驚くような金額になってしまったのです。

なお、グランデータは2023年5月分から、電気料金の計算方法を変更します。

しかし、市場と連動する仕組みは残っていますので、このまま契約を継続するのであれば、十分な検討が必要です。

「自由料金」に潜むリスク

グランデータの電気料金は、グランデータ自身が決められます。

これを「自由料金」と言います。

これまでは、電気の仕入れ価格が安かったので、グランデータは東京電力よりも安い価格を設定し、「お得な電気」として販売してきました。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻のような、思わぬ事態が発生すると、東京電力よりも高い料金になってしまいます。

これはユーザーとグランデータの契約ですから、第三者が「高すぎるから下げろ」と裁定することはできません。

「安く売る自由」がある一方で、契約に合致していれば「高く売る自由」もあるのです。

それが嫌ならば、契約を破棄するしかありません。

今回のような状況では、価格の変更に認可が必要な「規制料金」である「従量電灯B」の方がお得になってしまいました。

ウクライナ情勢をきっかけにして、これまで安定したものと認識されていた電気料金が、選択には知識が必要な、危険物になってしまったのです。

まるで、「投資」をするときや、「住宅ローンを固定金利にするか、変動金利にするか」の判断のように、自由料金にするか規制料金にするかを選ぶ時代になったのです。

「電気」や「ガス」についても、「お得」というふんわりした言葉にだまされず、自分にとって必要な会社やプランを選択してください。

[シニアガイド編集部]