1年で「1.65%」も人口が減った「秋田県」。1%を超える県は「東北」「中国/四国」に多い
人口が減っているのは、どの県か
日本人の人口が減っているという話題も、よく聞く話になってしまいました。
では、具体的に、どこの都道府県(以下、県と略)の人口が減っているのでしょうか。
総務省が公開している2023年1月1日のデータをもとにして紹介します。
実は、今回の調査結果では、東京都を除くすべての県で人口が減り始めています。
人口減少は、“どこか”の問題ではなく、東京以外のすべての地域の問題なのです。
人口減少率が高い「秋田」
人口の減り方を比べるときに、減った人数だけで比べるのは公平ではありません。
なぜなら、人口が一番多い「東京都」と、一番少ない「鳥取」では、もとの人口が20倍以上も違うからです。
当然、人口が多い県ほど、減少する人口も大きくなってしまいます。
そこで、前の年から、どれだけ人口が減ったのかを「減少率」で比べてみました。
その結果、もっとも減少率が高いのは「秋田」で、「1.65%」でした。
数字で見ると、「956,836人」が、「941,021人」に減っています。
人口が100万人を切っているのに、年に1万5千人も減っているのです。
次に多いのが「青森」で「1.41%」、三番目が「岩手」で「1.39%」でした。
人口減少率が1%を超える県は14もあり、東北地方と中国/四国地方が多くなっています。
人口減少率が高い県
- 秋田 -1.65%
- 青森 -1.41%
- 岩手 -1.39%
- 山形 -1.35%
- 福島 -1.23%
- 高知 -1.21%
- 和歌山 -1.14%
- 島根 -1.13%
- 新潟 -1.12%
- 徳島 -1.08%
- 愛媛 -1.07%
- 山口 -1.06%
- 長崎 -1.06%
- 福井 -1.01%
出生率が低く、人が減っていく「秋田」
人口が減る原因は、「自然増減」と「社会増減」の2つがあります。
「自然増減」は、生まれる人が死ぬ人よりも少なくなると、人口が減ります。
例えば、「秋田」は自然減だけで「1.39%」も人が減っています。
具体的には、過去1年間で「17,280人」が死亡したのに、「3,998人」しか生まれていません。
少子高齢化が進んでいて、生まれる子供が少ないのです。
出生率で見ても、「秋田」は28年間連続で最下位が続いています。
「青森」や「岩手」も、それに近い状態で、出生数が6千人前後しかいません。
自然減率が1%を超えている県
- 秋田 -1.39%
- 青森 -1.13%
- 岩手 -1.12%
- 高知 -1.12%
- 山形 -1.06%
転出する人が多い「山形」
人口が減る、もう一つの原因は「社会増減」です。
「社会増減」では、その地域に入ってくる人よりも、その地域を離れる人が多いと、人口が減ります。
「山形」では、1年に「31,404人」が転出しています。
しかし、転入してくる人は「28,388人」しかいません。
つまり、1年間に3千人ぐらいずつ、人が減ってしまうのです。
「山形」の人口は約100万人ですから、年に3千人ずつ減る影響は小さくありません。
また、「福井」と「長崎」は、自然減の率が1%を切るのに、社会減の率が高くなっています。
今回の結果だけでは分かりませんが、「進学」や「就職」などで県外に転出しやすい事情があるのでしょう。
社会増減で0.2%以上も人が減った県
- 山形 -0.29%
- 福井 -0.28%
- 青森 -0.28%
- 福島 -0.27%
- 岩手 -0.27%
- 秋田 -0.26%
- 長崎 -0.23%
- 島根 -0.20%
人口減少は加速する
人口の増減は、さまざまな理由があり、一つの理由だけで決まるものではありません。
逆に言えば、これをやれば人口が増えるという簡単な方法はないのです。
ただし、一度人口が減り始めると、人口減少は加速するという特徴があります。
人口減少率が、もっとも高い「秋田」を例に取ると、1年前は「-1.52%」だった減少率が、今年は「-1.65%」に増えています。
また、「秋田」の人口が100万人を切ったのは2017年でしたが、たった5年で94万人まで減ってしまいました。
さらに、2030年には、81万人まで減るという推計もあります。
各県が、その対策を行なうのであれば、少しでも早く行なうべきでしょう。