新しいワクチンの供給開始に伴ない、8,630万回分の新型コロナワクチンが廃棄に

[2023/9/21 00:00]

今回の接種から新しいワクチンに変更される

新型コロナウイルス感染症のワクチンが、9月20日から再開されました。

今回の接種は「令和5年秋開始接種」と呼ばれ、「オミクロン株 XBB1.5」に対応した新しいワクチンが使用されます。

これに伴ない、これまで使用されてきた「ファイザー/従来株」「ファイザー/オミクロン株」「モデルナ/オミクロン株」の3種類のワクチンが使用されなくなります。

使い残したワクチンは「廃棄」される

新型コロナウイルス対応ワクチンは、政府がメーカーとの契約をもとに購入しています。

しかし、契約通りに消費できるとは限りません。

使い残した分については、「廃棄」するしかありません。

今回の3つのワクチンについても、合計で8,630万回分のワクチンが廃棄される予定です。

それぞれのワクチンについて廃棄される割合は、3%、21%、73%にあたります。

つまり、「ファイザー/従来株」はほとんど消費されましたが、「モデルナ/オミクロン株」対応ワクチンは、その7割が使用されずに廃棄されることになります。

出典:厚労省

主流を外れたワクチンは「キャンセル」や「廃棄」された

このように使い残したコロナ用ワクチンが「廃棄」されるのは、これが初めてではありません。

これまでに期限を迎えたワクチンでも「廃棄」や契約の「キャンセル」が行なわれています。

例えば、2月に期限が切れた「モデルナ/従来株」は3割が廃棄されました。

また「武田/ノババックス」では9割以上がキャンセルされました。

つまり、ほとんど使われなかったのです。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

「アストラゼネカ」では5割がキャンセルされたうえ1割が廃棄されました。

残りの4割も多くが海外に供与され、国内ではほとんど使われませんでした。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

このようにワクチンへの対応が過酷なものになったのは理由があります。

新型コロナ用のワクチンは、研究や供給の見通しがつきにくく、どこが本命になるのか分かりませんでした。

そのような状況の中で、供給が過剰になってでもワクチンを入手する必要があったため、結果的に「廃棄」や「キャンセル」を強いられてしまったのです。

これようなワクチンへの対応を見るだけでも、新型コロナに対する政府の対応が一本道ではなく、曲がりくねったものであったことが分かります。

[シニアガイド編集部]