新型コロナウイルス感染症に対して今できること
新型コロナウイルス感染症に対する基本方針が決まる
政府が、「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」(以下、基本方針)を公開しました。
これは、今後の新型コロナウイルスとの戦い方の基本となる姿勢を示したものです。
しかし、「基本方針」の内容は、行政や教育などを含む広い範囲に渡っており、個人がこれを読んでも、何をどうすれば良いのかが直感的に分かりません。
この記事では、一個人として知っておきたい医療関係の情報に絞って、「基本方針」の内容を紹介します。
いまは、どんな状態なのか
新型コロナウイルス感染症の現状について、「基本方針」は次のように語っています。
- 国内の複数地域で、 感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しており、一部地域には小規模患者クラスター(集団)が把握されている状態 になった。
- ただし、 現時点では、まだ大規模な感染拡大が認められている地域があるわけではない。
つまり、もう水際対策で止まる状態でなく、流行が始まっているが、大規模な流行ではなく、その手前の状態であると言っています。
そして、『まさに今が、今後の国内での健康被害を最小限に抑える上で、極めて重要な時期である』としています。
いま、何をすれば良いのか
では、現時点で、私達ができることは何でしょう。
「基本方針」では、次のように要請されています。
- 感染の不安から適切な相談をせずに、医療機関を受診することを避ける
- 感染しやすい環境に行くことを避ける
- 手洗い、咳エチケット等を徹底する
- 風邪の症状があれば、外出を控える
- やむを得ず、外出される場合にはマスクを着用する
特に強調されているのが、“いきなり医療機関に行かない”ことです。
現在、新型コロナウイルスの感染が疑われるときは、いきなり病院で受け付けるのではなく、次のような手順を経由します。
- 一定の症状がある人が、「帰国者・接触者相談センター」に電話で相談する
- センターに紹介された「帰国者・接触者外来」で受診する
相談の前提となる、新型コロナウイルスの感染が疑われる症状は、次の2つです。
- 風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む)
- 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある
ただし、高齢者や、糖尿病などの基礎疾患を患っている方は発熱の日数は4日ではなく「2日」を目安にします。
このルールを守らずに、いきなり病院に行ってしまうと、次のような支障が発生します。
- 病院が混み合って、本来受診すべき重症患者が診てもらえない
- 病院の待合室が、近距離で多くの人がいる感染しやすい閉鎖空間になり、「院内感染」が起きてしまう
くれぐれも、いきなり病院に行くことは止めてください。
新型コロナウイルスを恐れて行った病院の外来で、新型コロナウイルスに感染してしまっては、元も子もありません。
次の段階は「自宅療養」が基本になる
新型コロナウイルス感染症が、次の段階になると、病院の対応も大きく変わります。
次の段階は、「基本方針」では『地域で患者数が大幅に増えた時』としています。
- 一般の医療機関でも、診療時間や動線を区分する等の感染対策を講じた上で、新型コロナウイルスへの感染を疑う患者を受け入れる
- 重症者を多数受け入れる見込みの「感染症指定医療機関」から順に「帰国者・接触者外来」を段階的に縮小する
- 風邪の症状が軽度である場合は、自宅での安静・療養を原則とする
つまり、医療体制は、新型コロナウイルスに感染した重症者向けに変わります。
そして、風邪など軽症の場合は、病院での診察を避けて、自宅での療養が基本となります。
高齢者や基礎疾患がある人に対しては、通院しなくてすむように、電話での診察で薬の処方箋が発行できるようになります。
病院の資源は「重症患者」に
ここまで見てきたことをまとめてみましょう。
まず、現状では“外出を控え、どうしても外出する場合は「手洗い」と「マスクを含む咳エチケット」を守る”ことが前提となります。
会社に行かなくても仕事ができるテレワークや、人混みを避ける時差通勤などの手段も利用してください。
また、新型コロナウイルスの感染を疑って、医療機関を受診する場合は、「帰国者・接触者相談センター」に電話で相談し、紹介された病院の専用窓口へ行きます。
そして、新型コロナウイルスの感染が、地域で広まった場合には、「自宅療養」が基本となります。
この場合でも、4日以上症状が続く場合は、「帰国者・接触者相談センター」に相談してから受診します。
そして、一般の病院でも新型コロナウイルス感染者の治療が行なわれるようになります。
いずれにしても、「いきなり病院に行かず、電話で相談する」ことが基本です。
新型コロナウイルスに感染して、重症化した人たちにチャンスを与えるためにも、相談なしで病院に行ったり、複数の病院を渡り歩くようなことは止めましょう。