高齢者世帯に安心して部屋を貸せる家賃債務保証制度

[2015/10/21 05:31]

家主の不安を債務保証で解消

高齢者が賃貸住宅を借りようとする際に、家主側が不安を抱いてしまい契約に至らない場合があります。

家主が賃貸をためらう不安要因としては、収入不足による家賃の滞納、保証人の不在、万一の際の資産価値の低下などが挙げられます。

一般財団法人 高齢者住宅財団の「家賃債務保証制度」は、家主と財団が契約することで、賃貸住宅に入居する際の家賃債務等を保証します。いわば、連帯保証人の役割を代行することで、賃貸住宅への入居を支援する制度です。

この制度により、家主は万一の際にも保証が受けられるため、高齢者世帯などと契約しやすくなります。保証金は原則として入居者が負担し、2年契約の場合で月額家賃の35%です。保証範囲は、共益費や管理費を含む滞納家賃が最大12カ月分、現状復帰費用および訴訟費用が最大9カ月分です。

障害者世帯や外国人世帯も対象

運用の流れは次のようになります。

  • 賃貸住宅の家主が財団と契約
  • 家賃債務保証制度に該当する入居者が契約する際に、入居者が保証金を支払う
  • 家賃の滞納などが発生し入居者が退去し、債務が確定した時点で財団が債務を履行する

家賃債務保証制度の対象者は、次の5つです。

  • 60歳以上の高齢者世帯
  • 障がい者世帯
  • 18歳以下の扶養義務のある子が同居する子育て世帯
  • 外国人世帯
  • 解雇などによる住居退去世帯

各対象者ごとに細かい規定がありますので、財団のホームページで確認してください。また、契約時には財団の審査があります。

家主に理解が必要だが意義のある制度

家賃債務保証制度を利用するためには、家主と財団が基本契約を結んでいる必要があります。つまり、自分が気に入った物件について、この制度を利用しようとしても、家主が契約していなければ利用できません。制度の存在を説明して、契約をお願いするしかありません。

また、この制度は滞納した家賃を立て替えてくれるだけで、家賃という債務がなくなるわけではありません。借主に代わって滞納家賃等を家主に支払った場合、借主には財団に対して支払い分及び損害金を弁済する義務があります。

それでもこういう制度があることによって、立場の弱い世帯が、民間の賃貸住宅を借りやすくなるのは意味のあることです。

また、賃貸住宅の家主にとっても、この制度を利用することで入居者の範囲を広げることができます。空き家に悩む家主さんなども検討する価値があるでしょう。

[シニアガイド編集部]