一人暮らしの高齢者の76.3%が「今のまま一人暮らしでよい」と考えている
一人暮らしを続けたいと思っている高齢者が多い
「一人暮らしの高齢者の76.3%が『今のまま一人暮らしでよい』と考えている」という調査結果が出ています。
この調査は、内閣府が行なった「一人暮らし高齢者に関する意識調査結果」で2016年12月に全国で実施されました。有効回答数は1,480人で、調査員による個別面接で聞き取りを行なっているため信頼性の高い調査結果となっています。
男女比は1対2で女性が多くなっています。また、年齢は65歳から80歳以上まで、ほぼ同じ人数です。
今回は調査結果のうち、日常生活の幸福度や、今後の生活への不安を中心に紹介します。
図の出典は、すべて「平成26年度 一人暮らし高齢者に関する意識調査結果(内閣府)」によります。
今の生活を幸福と感じている人の方が多い
「経済的な暮らし向き」について聞いたところ、「心配ない」が7割以上でした。以前の調査結果に比べて、少し減っていますが、それでも全体の4分の3以上の人が、経済的に困ってはいないと回答しています。
また、「現在、あなたはどの程度幸せですか。10点満点で表現してください」という質問では、「5点」が一番多く、平均値では「6.59点」でした。不幸と感じているよりも、幸せと感じている人の方が多くなっています。
「現在楽しみにしていること」では、「テレビ・ラジオ」を挙げた人が8割近くに達しています。
次に「仲間や友人との交際」「新聞・雑誌」「食事・飲食」までが4割を超えます。「散歩」「旅行」までが3割を超えていますので、このあたりまでが代表的な生活の楽しみといえるでしょう。
この質問の結果は長いので、この記事の最後に掲載しています。
「今後、誰かと同居したいか」という質問には、「今のまま一人暮らしでよい」が7割以上と多くなっています。現在の生活には、一定の満足感があり、このまま一人暮らしを続けたいと思っている方が主流と言えるでしょう。
日常のことは子供に頼るが、介護では頼りたくない
困ったことがあったときに、誰に頼るかを見てみましょう。
「病気で寝込んだ時に頼りたい相手は」という質問では、「子(息子、娘)」が1番多くなっています。次に多いのは「あてはまる人はいない」で、その次も「兄弟姉妹、親戚」と「頼りたいと思わない」が、ほぼ同数になっています。
これが「介護が必要になった際の主な介護者は」という質問では、「ヘルパーなどの介護サービスの人」が圧倒的に多くて半分以上となり、「子」が3割、「兄弟姉妹」「友人・知人」などは少数派となっています。
さらに、「認知症になった際に介護を受ける場所」について聞くと、軽度の症状の場合は「現在の自宅」が、重度の症状の場合は「特別養護老人ホームなどの介護施設」が多くなっています。「子供を始めとする親族の家」を挙げる人は少数派です。
まとめると、日常生活では、子供に頼る場面があっても、介護が必要な状態になったときは、公的サービスに頼りたいという意思が感じられます。
孤独死を身近に感じない人の方が多い
「孤独死を身近に感じるか」という質問では、「感じない」人の方が半分ちょっとで、「感じる」は4割強でした。人によってかなり感じ方の差があるようです。
また、「終末期医療や葬儀、お墓などの準備」について聞くと、「考えている」は6割程度です。
「具体的に考えている」が多いのは、「お墓」についてで、「葬儀」や「終末期医療」についてよく考えている人は少数派です。
「高齢者の一人暮らし」は暗黒ではない
老後の独居生活というと暗いイメージを抱きがちですが、今回の調査結果を見る限り、ごく普通に楽しく暮らしている方もたくさんいらっしゃいます。個人差のあることですが、それなりに楽しみも満足も感じていらっしゃるようです。
また、子供や親戚、友人知人との交際を楽しんでいる様子も伺えますが、自分が介護を受ける立場になったときには、できるだけ子供らには頼らず、公的サービスや公的施設に頼りたいという意向が伺えます。それだけ、介護の重さを感じてらっしゃるのでしょう。
今回紹介したのは、調査結果の一部ですが、他にもご紹介したい項目があるので、またご報告しましょう。