田舎暮らしを思い立ったら、まず政府が作ったパンフを読もう

[2016/1/5 00:00]

政府の地方創生を担う組織が作成したパンフレット

年末年始に帰省や旅行にでかけ、「やっぱり田舎暮らしはいいよね、定年後は移住を考えようかな」と思った方も多いと思います。

そんな方に、オススメなのが『地方移住ガイドブック「いなか暮らしはじめませんか?」』というパンフレットです。以下、「ガイドブック」と略します。

このガイドブックは、政府の「まち・ひと・しごと創生本部」という地方創生を担う部署が作成し、無償でPDFを公開しています。

「まち・ひと・しごと創生本部」というのは、「地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服する」をテーマとしており、専任の大臣が居るぐらい力の入っているところです。そこが作ったガイドブックですから、“政府公認”または“政府公式”と言っても良いでしょう。

なにせ、「地方創生」を進める組織が作ったガイドブックですから、「田舎暮らし」の夢を散りばめた楽天的な内容を想像してしまいますが、内容は非常に現実的でびっくりします。成功例だけではなく、失敗例も含めたノウハウがたくさん入っています。

すぐに記事末のリンクをクリックしていただいても良いのですが、もう少し内容をご紹介しましょう。

率直で濃い内容のガイドブック

ガイドブックは24ページで構成されています。

ページ数が少なく感じるかもしれませんが、実際に読んでみると必要な情報はカバーされていることがわかります。

まず、目次を見てみましょう。

  • 地方移住って何?
  • 田舎暮らしへのステップ
  • 先輩移住者に聞く
  • はじめての地方移住Q&A
  • あなたにオススメの地方移住スタイルは?
  • 地方移住のススメ<お試し・住む・働く>
  • 居住地域を絞り込む5つのポイント
  • 地方移住の心構えと準備
  • お問合わせ一覧

最初に「Uターン、Iターン、Jターン」の説明から始まり、地方移住ができるまでの10のステップの紹介、4人の移住者の体験談へと進みます。

絶対に読んで欲しいのが「田舎暮らしへのステップ」です。10個のステップの最後が「挨拶回りはどうやるか?」なのが、実にリアルです。解説も、「貯金は目安として500万円必要」「運転免許証がないと移住する場所はかなり限定される」など、言いにくいこともきちんと書かれています。

次に読んで欲しいのが「はじめての地方移住Q&A」で、「自然災害がない地域はどこですか?」、「田舎は物価が安いと聞きますが本当ですか?」という、田舎暮らし初心者が抱きがちな質問に率直に答えています。

また、Yes/Noで進む「あなたにオススメの移住スタイルは?」にも、「エアコンがない生活をしてみたい」とか「近所付き合いはちょっとめんどくさい」という設問が用意されています。Yes/Noで答えていくうちに、7つの移住スタイルから1つを選ぶことができます。

さらに「居住地域を絞り込む5つのポイント」も、いきなり「西日本=温暖とは限らない」から始まっています。他の4つも、ぜひ読みたいと思いませんか。

最後の「地方移住の心構えと準備」も、実は「先輩移住者のホンネから学ぶ 地方移住の心構えと準備」が正式名称で、「都会の感覚が伝わらない」「希望の求人がない」「雪下ろしは重労働」などの先輩方のホンネが紹介されています。

リアリティのある「田舎暮らし」を

ここまでガイドブックの内容を説明してきましたが、読者の中には、「せっかく田舎暮らしを夢見ているのに、夢を壊すような内容」と思った方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、地方にとって移住希望は大変ありがたいことなのですが、現実味のない夢だけを抱いて田舎に来られても、いつかは現実に突き当たります。

だったら、最初からはっきりと現実を語り合った方が、移住希望者にも、迎える田舎にも良いことなのです。

「田舎」は夢の国ではなく、この「日本」という現実の一部であり、良い所も悪いところもあるのは、いまあなたが住んでいる場所と同じなのです。田舎暮らしを考えている方は、ぜひこのガイドブックを読んで、田舎に移住することを実際のできごととして真剣に検討してください。

[シニアガイド編集部]