老後に暮らしたいのは「文化・商業施設が豊富で公共交通機関が充実したところ」
老後はどんなところに住みたいか
老後には、どんなところに住みたいと思いますか?
今回紹介するのは、政府が2013年に行なった「高齢期への備え」についての調査です。全国の35歳から64歳の男女2,707人から回答を得ています。
高齢期の生活について、たくさんの質問が用意されていますが、今回は「高齢期に暮らしたい場所」に関する部分を紹介します。
この調査は、2年前のものですが、偏りが少ない調査方法で調査数も多いため、一般の人の意向を知るのに向いています。
住むなら「都会」か「田舎暮らし」か
まず、「あなたは、高齢期に、主にどのような環境で暮らしたいと思いますか」という質問です。
もっとも多かったのは「文化・商業施設が豊富で公共交通機関が充実したところ」が6割を占めています。「都会」とか「街中」というイメージでしょうか。
次は「山村・漁村、離島、別荘地など自然環境に恵まれたところ」で1割を超えています。「田舎暮らし」にあこがれている層が確実にあることがわかります。
立地条件で重視するのは「スーパーの近さ」
次に「あなたが高齢期に居住する住居の立地条件として、重視することはどのようなことですか」という質問です。
一番多かったのは、「スーパーなどの近くであること」でした。やはり、日常的な買い物は手近な場所で済ませたいと思う人が多いのでしょう。
つぎは「駅やバス停の近く」で、やはり交通の便利さが重視されています。3位には「子供・親戚の家の近く」と、身近な人との距離が入っています。
やっぱり住むなら一戸建て
次は、住まいの形についての質問です。「あなたは、高齢期にどのような形態の住居に住みたいと考えていますか」という問いには、「持家(一戸建て)」という答えが6割以上を占めました。
一戸建てへの志向が大変強いことがわかります。
2位は「持家(集合住宅)」が続きますが、「持家(一戸建て)」の四分の一以下です。
3位には「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」が入りました。「サービス付き高齢者向け住宅」は、「賃貸の集合住宅」や「公営住宅」より人気があります。高齢者へのサービスが組み込まれた住宅への、強い期待が感じられる結果です。
安心して住み続けられる住宅が求められている
「高齢期に住みたい住居を選ぶ条件として、重視することはどのようなことですか」という質問です。
「引き続き住み続けられること」「家賃を支払う必要がないこと」が1位2位です。安心して住み続けられることが求められているということでしょう。
3位には「高齢者への支援・サービスが充実していること」が入りました。前の問いと同様に、高齢者への支援機能を備えた住宅への期待が感じられます。
必ずしも子供との同居は望んでいない
最後に「子どもとの同居または別居についてどうお考えですか」という質問です。
「子供が近くにいれば別居でもよい」が、4割弱で1番多くなっています。同居はしたくないが、イザというときには頼りたいという距離感でしょう。
全体的には「別居したい」人の方が多く、「同居したい」という意向がある人は24.4%に留まっています。
便利なところで安心して住みたい
この調査を見る限り、一般の人は「便利なところに住みたい」という生活の実利性への関心が強いように見受けられます。
最大公約数的な要望をまとめると、「一戸建ての持ち家で、ローンが終わっていて家賃を支払う必要がない。周囲は、公共交通機関が充実していて、買い物ができる場所も近い」というあたりでしょう。
子供は、頼れる距離にはいてほしいが、必ずしも同居は望まないという人の方が多いようです。
老後の住まいというと、「田舎暮らし」というイメージがありますが、普通に便利な生活を望んでいる人の方が多いことがわかります。
もし、老後に「田舎暮らし」を考えているのであれば、一般の人は、こういう考えであることを知っておく必要がありそうです。それが、家族の理解を得るための近道でしょう。