本来は厚生年金に加入すべき約200万人が、国民年金に加入している理由

[2016/1/13 04:52]

約200万人が本来の年金に加入していない

本来、厚生年金に加入する資格があるのに、国民年金に加入している人が約200万人に上ることが、厚生労働省の推計で明らかになりました。

これは、2015年12月にまとめられた「国民年金被保険者実態調査」による推計です。

これらの人達は、将来的に受給できる年金が少なくなる可能性が高く、不利な状況となっています。

厚生年金の加入資格

厚生年金保険が適用される事業所(企業)は、次の2種類です。

  • 株式会社等の法人の事業所(事業主のみの場合を含む)
  • 農林水産業、飲食店・宿泊業等の場合を除く従業員が常時5人以上いる個人経営の事業

これらの事業所に勤めており、勤務時間及び勤務日数が一般社員の4分の3以上あると、厚生年金の被保険
者となります。

会社の都合で年金額が少なくなってしまう

厚労省の推計によれば、法人の事業所で約180万人、個人経営の適用事業所で約20万人、合計で約200万人程度が、厚生年金ではなく、国民年金に加入しています。

厚生年金は保険金の半額を企業が負担する制度です。そのため、企業負担分の経費が増加することを望まない企業は、厚生年金の加入手続きを怠りがちです。そうすると、従業員は国民年金に加入せざるを得なくなります。

しかし、将来的に年金を受け取る際に、厚生年金の平均支給額は月額14万円なのに対し、国民年金は月額6万4千円が上限で、大きな差があります。つまり、雇用している企業が厚生年金に加入していないため、従業員の将来の年金額が少なくなるのです。

すでに、この問題は国会でも取り上げられており、今後は厚生年金に加入していない企業への圧力が高まることが予想されます。

[シニアガイド編集部]