定年退職後に起業した人の7割が「現状に満足」
シニア起業の実態
シニア向け宿泊予約サイト「ゆこゆこネット」が行なった「シニアの仕事に関する調査」というアンケートに、定年退職後に起業した方についての詳しい内容がありました。
今回は、アンケート結果から、定年退職後の起業に絞って紹介します。図の出典はリリースに依ります。
定年後に起業するのは8%
アンケート回答者のうち、定年退職および早期退職をした人は1,352名でした。
そのうち、「起業」した人は108名で、全体の8%に留まっています。起業するのは少数派です。
退職した人の半分以上は働いていません。
職種はサービス業と農業が多い
起業した職種は、「サービス業」が3割で一番多く、次は「農業」で1割でした。
農業での起業が1割を超えているのは、予想以上に高い比率と言って良いでしょう。
いわゆる「田舎暮らし」で移住しての起業や、兼業農家が農業専業になったなどの理由が考えられます。
未経験で始める人が一番多い
起業した職種についての経験は、「未経験」が一番多いという驚きの結果でした。
次は「30年以上」「20年以上」が続いています。新しい分野に挑む人と、長くやってきた仕事を続ける人に分かれているようです。
起業の準備は退職後が多い
起業までの準備期間でも「退職したあと」が一番多くなっています。
次も「退職の1年前」なので、退職が近づいて、かなりギリギリになってから起業を思い立つようです。
退職金をつぎこんだ人は3割
起業にあたって退職金を使った人は少なく、108人中の39人に留まっています。
使った金額は「100万円以上500万円未満」が7割で、中には「1,000万円以上」つぎ込んでいる人もいます。
月商は50万円未満
起業後の月商(1カ月の売上)は、「50万円未満」が一番多く、半数以上となっています。
次も「50万円以上100万円未満」なので、事業の立ち上げに苦労している状況がうかがえます。
併せて「仕事による収入」も聞いていますが、こちらも「10万円未満」「20万円未満」「30万円未満」の順に多くなっています。
黒字は3割
現在の採算状況は「黒字基調」「どちらともいえない」「赤字基調」が相半ばしています。
月商が少ない割には、黒字基調の人が多いのは、個人事業などの身軽な体制で起業し、経費がかかっていないのでしょう。
自分で裁量できて、年齢に関係なく仕事できる
起業して良かったことは、「自分の裁量で仕事ができる」「年齢に関係なく仕事ができる」「自分の知識・経験を生かせる」でした。
自分で裁量できて、年齢に関係なく仕事できるというのは、起業ならではのメリットです。
「この先、何歳まで働き続けたいと考えていますか」という質問にも、半数以上の人が「働けるうちは何歳まででも働きたい」としています。
それでも「満足している」人が多い
金銭的には大変そうな「起業」ですが、「現状の仕事に満足していない」人は1割に留まっており、7割の人は「満足している」と回答しています。
起業した人のリアルな声
アンケート結果には、コメント欄の内容も転載されています。シニアで起業した人のリアルな言葉は、体験がにじみ出ており貴重です。
まず、「起業して大変なこと」です。
- 組織の中の仕事と違い個人活動のため、助力者がいない(輸入販売業/60代男性)
- 夜逃げや空き部屋対策など、想像以上に大変な思いをしている(不動産業/50代男性)
- 経験があまりないので、営業活動が大変(製造業/50代男性)
- 経理面が素人なので難しい(情報通信業/60代男性)
- 素人集団の集まりでうまくいってない(サービス業/50代男性)
- 確定申告等すべて自分で行わないといけない(建設業/50代男性)
- 自宅を事務所にしているので、カミさんに疎ましがられる(不動産業/50代男性)
- 体が大事で病気になれない(小売業/60代男性)
- 健康・体力・気力の維持(サービス業/50代男性)
- 日の出から日没まで休む間もない(農業/60代男性)
次に「起業する上で大事なこと」です。
- 好きになれることを選ぶ(マンション管理士/50代男性)
- 自分自身の意識と家族の協力(製造業/50代男性)
- 起業した目的を見失わないこと(飲食店/60代男性)
- 今まで築いてきた人間関係、信頼関係を活用し、能力範囲内の仕事をすること(輸入販売業/60代男性)
- ある程度お客さんを作っておくこと(サービス業/60代男性)
- 利益を出すことを第一に目指すのか、体と精神的な面の健康を考えるのかの選択(農業/60代男性)
- 身の丈に合った仕事(運輸業/60代男性)
- 起業時の投資額が大きくならないこと。2~3年は赤字覚悟でも、生活できる範囲での投資額で収まる
- 起業であること(運輸業/60代男性)
- 定年後に起業するのであれば、年金や退職金を取り崩さない範囲で行うこと(サービス業/60代男性)