あなたは『老後の生活』という言葉に、どういう生活を思い浮かべますか
老後生活のイメージを探る
“『老後の生活』のイメージ”を1万人に聞いた調査結果がありました。
これは、厚生労働省が行なっている「高齢期における社会保障に関する意識等調査」の一部です。この調査は、高齢社会白書などにも、よく引用されている資料です。
今回は、この調査結果から、老後の生活イメージについて紹介しましょう。図は調査報告書からの引用です。
老後の生活と言えば「年金」
「あなたは、『老後の生活』といった場合にどういう生活を思い浮かべますか」という質問に対し、「年金を受給するようになった生活」が一番多くなっています。男女の差はなく、5割を越える人が「年金」を思い浮かべています。
「仕事から引退したり、仕事を人に任せるようになった生活」も多く、とくに男性では4割を超えます。次に「老化に伴い体の自由がきかなくなった生活」が続きます。
「70歳」が自分も受け入れられる「老後」の年齢
「あなたは、何歳ぐらいからを老後と考えますか」に対しては、「70歳」「65歳」「60歳」の順になっています。
ただし、年齢別に見ると、年齢が上がるごとに、老後と考える年齢も上がります。つまり、今の自分の年齢は老後ではないと考えたいのでしょう。
しかし、70代になると「70歳」という回答は多いままで減りません。どうやら「70歳」が自分でも受け入れられる「老後」の年齢と言えそうです。
老後の不安は「健康」と「生活費」
「あなたにとって、老後に最も不安が感じられるものは何ですか」に対しての回答は、「健康」と「生活費」の2つが圧倒的に多くなっています。
年齢別に見ると、身体が健康な若い年代は「生活費」の不安が多く、年齢を重ねると「健康」の不安が多くなっています。
女性は人とのコミュニケーションが生きがいになる
「あなたは、老後生活の中でどのようなことに生きがいを感じると思いますか」は、回答に男女差がはっきりと表れています。
全体では「教養・趣味を高めること」が一番多いのですが、女性に限ると「子どもや孫の成長」が一番です。
また、全体の3位は「家族との団らん」ですが、女性に限ると「友人や地域の人との交流」の方が多くなっています。
つまり、女性のほうが、人とのコミュニケーションを生きがいとする傾向にあります。しかも、その順位は「子や孫」や「友人や地域の人」の方が、主に配偶者を指すと思われる「家族」よりも高くなっています。
男性は「友人や地域の人との交流」を挙げる人が極端に少なく、地域の人間関係が少なく、退職後に孤立しやすい状況がうかがわれます。
一人暮らしになっても自宅で住み続けたい
最後に「あなたが年をとって、どのような場所で生活したいと思いますか」を3つの状況で聞いています。
「配偶者がいなくなり一人になった場合」は、「自宅(これまで住み続けた自宅、子どもの家への転居を含む)」が8割を超えます。
「介護を必要とする場合」は、「特別養護老人ホームや老人保健施設などの施設」が一番になり、「自宅」と「グループホームのような高齢者などが共同生活を営む住居」が続きます。
「人生の最後を迎えるとき」は、ふたたび「自宅」が一番になりますが、「病院などの医療機関」もあまり差がなく続きます。
3つの回答から見えるのは、基本的には「自宅」で暮らし続けたいが、「介護」はなんらかの施設で受けたい、しかし人生の最期は「自宅」か「病院」で迎えたい、という考えでしょう。
ずっと生活を重ねてきた自宅への愛着が感じられる、調査結果です。